「信なくば立たず」。三木武夫、小泉純一郎の両元首相がよく口にした「論語」の一説です。正しくは「民、信なくんば立たず」ということのようですが、政治は国民の「信」つまり「信用」が絶対不可欠の要件なのです。ところが、最近の政治はこの信用を失っていないでしょうか。
多くのマスコミの世論調査で「どの政党も支持しない」という無党派層が圧倒的に増えていることでも分かります。渡辺喜美氏が代表を務める「みんなの党」が調査によっては公明党を上回る支持を集めているのも、「民主もダメ、自民もノー」という国民の素直な感じを象徴しているように思えます。
とりわけ責任重大なのが日本のトップリーダーである鳩山由紀夫首相ではないでしょうか。14日の首相発言も驚かされました。
2011年度から満額支給するとしている子ども手当に関連してこう述べたのです。「将来に借金を残すことはしたくない。財源は極力無駄の削減で余裕ができた分だけでやる仕組みにしたい」
首相発言は場合によっては無駄撲滅で財源が確保できない場合は満額支給見送りもあり得ることを示唆したものと受け取られたのです。ところが一夜明けた15日になって首相は「(発言は)全然ぶれていない」と強弁、「国債を発行して子ども手当の財源にしたいと思わない。財源はあくまでも歳出削減でやっていく」と述べたのです。
すでに2010年度予算編成でも財源問題でブレまくった政府を国民が信用するでしょうか。16日からは所得税の確定申告が始まります。首相は5年間で9億円のいわゆるマザーズ・マネーの提供を受け、その後、修正申告した上で5億7500万円の贈与税を納めています。こんな途方もない額が行き来すること自体驚くばかりで、開いた口がふさがりません。そんな首相は確定申告が始まるに当たって記者団の質問にこう答えました。
「政治が信頼を増さなきゃならないと自らも戒めながら、国民の皆さんに税金をお支払いいただきたいと申し上げていきたい」
税金をどう徴収するのを決めるのが民主主義です。どうしたら国民に納得して税金を納めてもらえるのか。その原点が失われつつあるのです。改めて強調しておきます。
「信なくば立たず」
(了)