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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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ハートに火をつけて  #1 カブールから遠く離れて

GdpPXKBxtd.jpgみなさん、こんにちは。『報道特集』の金平茂紀(かねひら・しげのり)です。これからBlogを始めます。NYから日本に移ってきて77日が過ぎました。やっぱり現場取材はいいですね。現場の実際を知らないで、伝聞だけでモノを言うのを潔よしとしない気持ちがまだ残っているので、これからも現場主義にこだわって取材を続けていこうと思っています。Blogのタイトルは『ハートに火をつけて』にしました。これは僕がまだ中学生だったガキの頃、アメリカのロック・グループ、Doorsが歌っていた大ヒット『Light My Fire』の邦題なんですね。大体、英語の歌の邦題はダサいものが多いんだけど、この『ハートに火をつけて』は時代の感覚を見事に掴んでいたように思います。このタイトルを自らのエッセイ集のタイトルに使っていた小説家に鈴木いずみという人がいました。寺山修司の天井桟敷に出入りしていたり、ピンク映画に出ていたり、ジャズの阿部薫のパートナーとしてすさまじい生活を送っていたり……。僕も彼女に一時ハマりました。僕はそういう時代を生きてきた人間です。
さて、『報道特集』に来て最初に放送した特集は、アフガニスタンのカブール取材でした。わずか11日の現地滞在でしたが、毎日毎日どこかに取材に出かけて、いろいろなことを考えさせられました。そのなかでも今でも強い印象が残っているのは、アフガン女性の駆け込み寺=女性シェルターのひとつWAW(Women for Afghan Women)に併設されていた子供たちの福祉施設でした。同所にいた女性たちの直面している状況は、日本ではなかなか想像しにくいレベルのものでした。虐待、家庭内暴力、少女婚。けれども彼女たちの子供たちはよりいっそう困難に直面しているようにみえました。取材をしているうちに、そこにいた一人の少女が突然、歌い出しました。チョルバティというわらべ歌のような形式で、4行詩に自分の境遇を即興で歌いこむというものらしいのですが、それもあとから教えてもらって知りました。歌い出した少女は、母親と姉を自宅に押し入った敵兵に目の前で殺されたのを目撃し、こころに大きなトラウマを抱えているようでした。同行したカメラマンの前川光生さんが、この突然の歌をごくごく自然に収録し、その歌詞の意味を宿舎に戻ってから通訳のムクタール君に聞いて僕は考え込んでしまいました。

  ああ、私のお母さん、あなたは私を大人になるまで育ててくれた
あなたは私を監獄に送った
  あなたは私の柔らかな足を鎖でつなぎ続けた

カブールの町の中心にあるセントラル・バザールではとにかくなるべく多くの人々に同じ質問を浴びせ続けました。「タリバン崩壊後に生活面で何が一番変わりましたか?」「一日のうちで一番幸せを感じるのはいつですか?」「あなたは今、しあわせですか?」こんな試みを思い立ったのは、大昔のTBSのディレクター、村木良彦さんの『あなたは…』というドキュメンタリー作品のカブール版のようなことを考えていたからでした。それが結果的にうまく作品に出ていたかどうかは心もとないのです。番組放映後に視聴者の方々から多くの励ましのメールやお手紙をいただきましたが、寄せられていた感想の中のひとつに、このキャスター(=金平)は、きびしい状況にある子供に無理やり歌を「歌わせていた」うえ、物乞いの女性に「今幸せか?」と聞いていて呆れた、という趣旨のものがありました。それを読んで、僕は何とも言えない悲しい思いをしました。自分なりにまともな取材をしたものがそのような捉えられ方をされたことが心外でした。取材現場で感じたことを伝えるのはなかなか容易なことではありません。けれども諦めるわけにはいきません。はじまり、はじまり。

      *       *       *      *

さて、実は、僕が所属している放送局のBlogはものすごく不自由で、外部リンクをはることさえ禁じられています。ただ、僕自身、このBlog以外でも、いろいろな場所でいろいろな活動をしていますので、それらの情報もここに記しておきます。皆さんのなかで関心をお持ちの方がいれば、ここからコピー&ぺーストして、そこにリンクしてください。

<近々のイベント>
11/21/2010(Sun) 東大駒場祭イベント 
         石田英敬・情報学環長との対談 1100~
「アカデミズム×ジャーナリズム 2010年代に生みだす『知』」
 http://iii-edu.org/ から応募が必要です。   

11/24/2010(Wed) 森達也さんとのトークセッション 1830~
   ジュンク堂・新宿店
http://www.junkudo.co.jp/tenpo/shop-shinjuku.html#talk-shinjuku

<Blog site> 
The Journal  高野孟主宰のブログ・サイトに参加しています。 
        http://www.the-journal.jp/contents/ny_kanehira/  

集英社新書blog 
http://shinsho.shueisha.co.jp/column/hyoryusha/index.html

Web 多事争論
http://www.taji-so.com/colombia/?c=20100819060506

<新聞雑誌連載>
調査情報  TBSメディア総合研究所発行 
      最新号の11月号に「カブール・ダイアリー」所収。

Journalism  朝日新聞出版 
       2010年10月号に、映画「ザ・コーブ」についての論考所収   

<単行本>
11/07/2010 『それでもオバマは歴史を変える』(かもがわ出版)
        出たばっかりです!

12/10/2010 『報道再生』(河内孝さんとの共著 角川ワンテーマ新書) 
       もうすぐ出ます!

10/05/2010 『東松照明写真集 Camp OKINAWA』(未来社)の解説を
書いています。
 





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  • moonyさん
  • 2011/01/14 17:55
『ハートに火をつけて』というと、僕としては、デニス・ホッパーとジョディ・フォスター主演の映画ですね。これはデニス・ホッパーが監督したんですけれど、制作会社ともめてアラン・スミシー(トラブルが発生した時の監督名)の名で公開されたといういわくつきの映画です。

でも、なんか心に残る作品なんですよね。殺し屋のデニスがサックスを吹くところが妙におかしいし、ジョディ・フォスターの黒のストッキングを履くシーンも色っぽかったな。ジョディ・フォスターが前衛のネオン・アーティスだという設定も良かった。

鈴木いずみさんは、僕の年代ではギリギリセーフ。同世代ではないけれど、その当時の時代感覚は解ります。

本日、USTREAMの岩上さんとの対談、拝見しましたよ。
  • 依里さん
  • 2010/11/21 16:15
「報道特集」毎週楽しみに見ています

カブールの特集拝見しました。
突然、少女が歌いだした場面では、歌詞の内容と、直立不動の姿勢で歌う姿に、涙がとまりませんでした。
たまたま雑誌で、まだ子供といってもいい幼い少女が強制的に婚姻を結ばされている習慣があるということを知りびっくりしていたところだったので、とても興味深かったです。
いろんな考えがあると思いますが、
私は「今幸せか?」と聞かれた金平さんの姿は決して間違ってはいないと思います。幸せの基準は人それぞれ違いますし、その質問をすることで、相手も言いたいこと、聞いてほしいことを話すキッカケになるからです。
突然歌いだした少女は、金平さんに自分の気持ちを聞いてほしかった、その表現方法が、あの歌を歌うことになったのだと、私は思います。

同じ星の下にいろいろな生活、現実があることをぜひとも今後も金平さんのスタイルで私たちに伝えてください。