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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#6 いま、私たちは未曾有の危機の中にいる(後半)

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宮城県多賀城市内の津波被害(同市にて。筆者撮影)

#5からの続きです。
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《ゲストトーク④》
日下部:高嶋さん、今、重要なのは、何が今起きていて、何が危険なのかを正確に知ること、つまり、風評に惑わされたり、パニック陥らないことだと思うんですが、どうでしょう。
高嶋:今の(VTRにあった)話ですね、例えば、セシウムとか、ヨウ素、こういったことを一般の人は普段考えたことはないと思うんです。それを、急にマスコミが、テレビをつければ、そういう話ばっかりっていう。ですから、(一般の人が)惑わされるのは、もう分かりきっているんですね。
ですから、僕の考え方としては、やはり、政府の発表ということを素直に信じて、20キロ圏内が危ないといわれたら、整然とそういうふうにいくのがいいと思うんです。
ただ、今一番残念なことは、その政府の発表に皆が疑問を持ってしまっているっていうことです。ですから、そこのところを何とかしなきゃダメだっていうことだと思いますね。
金平:政府の姿勢に疑問を持つっていうのは、情報開示がこれまできちんとなされてなかったんじゃないかっていうような思いが、これまでの蓄積としてあるからじゃないかというのも考えられるんですが、伴さん、いかがですか。
伴 :確かに、情報を隠していたりとか、そういう、過去のことを考えて、人々が(政府を)信じられなくなっているというのはあると思います。原子力資料情報室にもそういう電話が沢山掛かってきます。
それで、今の事故のことについていうと、やはり、先程、VTRにあったように、どういう放射能がどれだけ出ているのかっていうのが非常に重要な情報なんですが、そして、事故の災害の現場といいますか、福島原子力発電所のところでは、そういうのをサンプルしているはずなんですが、そのデータが全く開示されていないというふうに思っています。それで、そういうのが開示されると、結局、パニックに陥らないためには、自分が判断せざるを得ない、各個人が自分で判断をするということが大事なんです。誰かが、あなたは大丈夫ですよって、判断をしてもらっても、これがそもそも信じられてないわけだから、自分の頭で判断をしないといけない。
その判断に必要な情報を政府とか専門家の人は積極的に公開して、どう行動を考えていったらいいのかというのを含めて、情報提供していく必要があると思います。
金平:あとですね、私の知己の一橋大学の医療社会学者の宮地尚子教授が指摘しているんですけれども、我々マスメディア・報道機関の人間も、今回の事態っていうのは「情報被爆」という言葉を(宮地さんは)使っていましたけれども、「情報被爆」というような事態の中で、パニックに陥っているのではないかと。報道機関の側がパニックに陥ったり、あるいは、冷静な判断が出来ないというのは、一番、市民とか視聴者に対して、大きな影響を与えるんじゃないかっていうような「警告」を発していらっしゃったんで、我々もそこを肝に銘じて、正確な情報を伝えていきたいというふうに思いますが。


《ゲストトーク⑤》
日下部:高嶋さん、今のVTR映像と言うのは、本当に津波の実態、恐ろしさ、そういうものを知るためには、本当に貴重な映像だと思うんですけれども。
高嶋:そうですね、すごい映像だと思います。
武田さんっていうんですか、記者さん、彼のすごく偉かったっていうことは、やはり、津波のことを非常に良く知っていたということですね。あの記者さんが、ある意味生き延びることが出来たっていうことは、知っていた知識を最大限に活用したということだと思います。まず、津波が来るぞっていうことを、今回の地震は海溝型地震って、海の中で起きた地震なんで必ず津波が来るわけなんですね。川の水が退いていた、これは、退き波で、必ず次には、大きな津波が来るという(予兆です)。そういうことを知っていたことと、後は、津波というのが陸上に上がってくると、横に走って逃げるとかいうのは、まず無理なんです。大体、30キロ前後の速さで津波がやってくると。やはり、車(で避難する)場合だったら、渋滞ですよね。皆が逃げようとするので。
ですから、高いところに上るっていうことは、常識なんです。ですから、一応、今までは、鉄筋コンクリート製の三階以上に行けば、まず安全だといわれてたんですけれども、今回の地震だけは、それじゃあダメだったということですね。
要するに想定外ということで、ものすごく大きな、4階、5階にいても流されるっていう津波になってしまっていますね。
金平:このVTRで紹介できなかったので、ちょっと補いますと、実は、私は、武田記者と会って話をしてきたんですけれども、彼がVTR映像の中で会話をしていましたが、あれは、タクシーの運転手さんと一緒に動いていたんですね。その人たちと一緒に逃げようと、ともに行動していたっていうこ
とと、それから、2階に避難してきた19人のうちの3人が、実は、過去に消防団員の経験があったんです。それで、消火ホースを解いて、錘とかの代わりにヘルメットをつないで、相手に投げるというノウハウをきちんと持っている人たちだったっていうのが、今回のこういう救助につながったということで、正確な知識っていうのが如何に大事かということが分かるんですけれども。久保田さんはどう思いましたか?
久保田:自分だったら、どういう風に行動していたかなって。
やっぱり、のんびりしていても、パニックになってもいけなかったってなると、知識があることで冷静になれるものなんだなと思いましたね。
金平:最初のヒタヒタ(という低い水位の津波)のレベルで、大したことはないって、普通の人は思っちゃうと思うんですよね。
久保田:でも、次の瞬間の階段の下の映像(激流)になるわけですよね。
金平:伴さん、どのように見ましたか。
伴 :僕も、これ見て、あんまり、ゆっくりじゃないのと思っていたら、次の瞬間にもうすごい流れになっているというんで、相当、津波のことをあらかじめ、よく知っていて、対応していかないと、自分があそこにいたらきっと助からなかったというふうに思っています。

《ゲストトーク⑥》
日下部:そろそろ時間なんですけれども、原発事故もそうだし、被災地の復興、いろいろな課題がありますよね、まだ。
高橋:そうですね、今回は、地震、津波、プラス原発事故っていう僕が知る限り、日本でも一番大きな事故、災害なんですね。ですから、一応、地震が起こって、(そちらの方は)終息しつつあると、でも、終わりではないわけなんですよね。
これから、本当に、生活の建て直し、そういったものが始まるわけなんですよね。ですから、まずは被災者の方の生活の安定、それから、一応、神戸とか、過去の経験を生かして、新しい地域づくり。復興は住民の方を主体に、時間をかけて行うのが一番いいと思います。
原発の方はまず、現状の終息ですよね。これにすべて、頑張ってもらいたいっていう、それが終わりましたら、一応事故の検証もしっかりする。
これは、やはり、研究者、科学者、そういった方含めて、あらゆるそういう関係の人が集まってやっていくということ、それと、今回は一応、原子炉は止まったんで、それより、周辺すべて含めた、新しい学問体系を作るくらい頑張って欲しいということです。
金平:ここで、敢えて触れておきたい人物がいるので、(フリップ写真を)見てもらいますけれども、伴さんも所属しておられる「原子力資料情報室」の創設者の高木仁三郎さんです。11年前にがんを発病して亡くなりましたけれども、これ(『原発事故はなぜくりかえすのか』岩波新書)が生前に
手がけた最後の本です。これを読むと、つまり、今の事故を予言しているという、そういう本だというふうに私は読みました。
私自身は現場で、懸命な作業に当たっておられる方々には敬意を表したいんですが、組織とか大きな組織(・巨大技術システム)になると、何か違った論理が出てきてしまうということに対して、この事故をきっかけにしっかり現実を見つめたいと思いますけれども、伴さん、いかがでしょうか?
伴 :私としては高木さんの遺志を継いで、原子力発電所から撤退していくという、彼の遺志だった訳ですから、それをついで、原子力政策の見直しというところを、精一杯、みんなに訴えていきたいと思っております。
金平:大変な危機にあると冒頭で申し上げましたが、この危機を私たち全員で乗り切っていきたいというふうに思います。
正確な知識に基づいて、冷静に行動しましょう。
「報道特集」、ではまた来週。(終)



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