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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#8 「情報格差」と「支援格差」

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南三陸町の被災地にいた犬

東日本大震災から3週間あまりが過ぎました。
すべてのことがらが「長期化」という局面に至ると、人間の感覚自体が
徐々にマヒしてきて、通常ではない状況が常態化してくる。
震度3~4程度の地震に慣れてきてしまうことは恐ろしいことです。
南三陸町の避難所で会ったSさんという人がいます。地震から4日後に会った時は、食事の配布システムや被災者の安否確認窓口を立ち上げるなど、自治活動の立ち上げの中心になった青年でした。彼自身も家族が被災しているのにもかかわらず、この避難所に常駐して活発に動いていました。人間のもっている「善意」の体現者のような人物だと思いました。
その彼に久しぶりに会ったのですが、憔悴しきっていました。疲れた、そっとしておいて欲しいといわれました。ショックを受けました。そのように状況が変化している現実もあります。
南三陸町から、女川や石巻に取材に入ったのですが、復旧が全く手つかずの場所を何か所も目の前にしました。そのうちの一部だけを番組では紹介しましたが、番組枠が短いのが悔しいです。
4月2日放送内容のスタジオ部分を採録しておきます。

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◆あいさつ
 金平; こんばんは。「報道特集」です。東日本大震災から3週間余りが
 過ぎました。暦の上では4月に入って、新しい年度に入ったわけですが、
 あまりにも過酷な試練が続く中で、いまの学生服やランドセルの話のよう
 に温かい思いが伝わるニュースも徐々に増えてきています。 
    
◆特集「決意の春~南三陸町の卒業式」
日下部;金平さん、この大震災を通じて気付かされることが沢山あると思い ますが、学校の卒業式や終了式という節目が子供だけではなく、大人にと っても非常に大切な意味を持っていると感じました。
金 平;そうですね。
日下部;もう一つ気になるのが、南三陸町では復興に向けた動きが感じられ たのですが、近くにある石巻、町が大きいというのがあると思いますが、 金平さんが訪れた地区は殆ど手付かずのまま放置されたままでしたね。
金 平;僕らは南三陸町に焦点を当てて取材をしてきたんですけど、マスコ ミの、僕ら含めたマスコミのカバーの度合いの大きさによって、支援の厚 さ、厚さ薄さというところでいわば「支援格差」ができてしまっていると いうのをみて、女川や石巻の現場を見たあと、とても複雑なものを感じま した。もう一つ、VTRでは紹介できなかったんですけど、最初に南三陸 の町に行った時に、食事や住民の世話をシステムとして立ち上げた青年が いたんです。すごく元気で当時はいたんです。久しぶりに会ったら、とっ ても憔悴していて、もう限界だと、そっとして欲しいと言われて、住民の ケアをしている人のケアが必要だという現象が生まれてきていたんです  ね。心理療法士の方に伺ったら、責任感の強い人ほどそうなるそうです。 そういう人にアドバイスをくださいと言ったら、人間だから限界はあるん だと、限界があると言うことは休みが必要だということをちゃんと伝えら れたらいいですね、と言っていました。

◆特集「原発事故処理のシナリオ誰が書くのか」
日下部;とにかくこの廃炉の問題ですね、今の研究炉で見たようにそう簡単 なことじゃない、まず一番放射線が高い核燃料、これの最終処分先は日本 にはまだありません。それと低レベルの放射性廃棄物、これはおさらいに なりますが、これは運転中の原子炉から出た低レベルの放射性廃棄物の処 分先はありますが、廃炉。炉を解体した時に、この低レベルの放射性廃棄 物、どこに捨てていいかまだ決まっていない。
金 平;作った時にどうしてそこまで想定していなかったのか、そのことが 一部の人たちから言われているんですが、「原子力発電所というのはトイ レなきマンションだ」という、例えをされていますね。
日下部;とにかく今アメリカやフランスなど、国際支援の動きが強まってい るんですけど、どの専門家の分析を見ても原子炉が安定するまでは数年、 あるいは数十年掛かるという見方もある。長い時間がかかると言うのが共 通認識となっています。これは日本だけの問題ではなく国際的な知恵とか ノウハウを収集できる機関をきちんと作るべきです。

◆“もう一つの原発”女川の現状は?
金 平;日下部さん、女川原発は無傷だということで実際に行ってみたんで すけど、原発というのはさきほどのアメリカの原子力規制委員会のジリン スキーさんも言っていたように、よく僕らが略図で使うような単純なもの ではなくて、原子炉の内部と外部をつなぐパイプみたいな、配管みたいな ものが物凄くいっぱいあって、そういう意味では巨大技術として、とても もろい部分があると言うか、綿密なガラス細工のような一面もあるんです ね。あれを見ると、福島みたいに女川原発は至らなかった訳ですが、それ でも僕らが撮影している最中に、あれは実は鈴木カメラマンがレンズを覗 いていて、タンクが倒れているのに気がついたんですけど、そういうよう な事故が起きている。それで事故の対応も東北電力側が必ずしも迅速な対 応をしていたとは言えないんです。
日下部;今回、女川原発のほうは大丈夫だったけれど、完璧な防災対策をし ていたわけではない、結構紙一重の部分もあって、そこいらは絶対忘れて はいけないと思う。
金 平;実は正面のゲートのところは撮影禁止と言われたんですけど、それ から空撮もダメだと。さっきの廃炉にされた実験炉の撮影でも微妙なとこ ろがあったのですね。」
日下部;実は、小さい実験炉、実はこれはテロ対策だと思うんですけど、や はり原子炉と建物の関係とか非常に外部に漏れてはいけない情報があるわ けで、ただそれは分かるんですけど、今回の事態の場合、世界により多く の知恵を求める時に、あまりにもそういう状況で情報を公開しないという のはどういうことか、それを考えさせられる。
金 平;情報公開はとっても必要なことですからね。
 「報道特集」、来週はいつもより30分早い午後5時からお伝えします。 それではまた来週。
           



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