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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#10 「複合被害」の地からの放送

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中継場所となった福島県いわき市のホテル塩屋崎の皆さんと

こんにちわ。金平です。
ブログの更新が遅れてしまいました。2週間遅れですが、
4月9日放送の『報道特集』のスタジオ部分を採録したものを
掲げておきます。
今回の大震災報道・原発事故報道については
このブログ以外の場所でいくつかの自論を述べております。
ご参照いただけましたら幸いです。

●ブログ The Journal 内で『茫界偏視』

●Web多事争論 『変えてはいけないもの』

●雑誌『創』4/5月号 吉岡忍さんとの対談

●雑誌『週刊金曜日』4月29日号 斉藤貴男さんとの対談    

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▽番組冒頭あいさつ
金平)こんばんは、報道特集です。大震災の発生から1ヶ月近くがたちました。私たちは福島県のいわき市にきております。地震・津波の被害に加えて、原発事故による被害が重なった複合被害、多重被災の起きている福島。今、被災者たちに何が起きているのでしょうか。
日下部)常磐道を通っていわき市に入るところに標識があって、『フラガール』が生まれた町とあります。かつて常磐炭鉱が閉山され、いわき市が低迷したとき映画にもなった『フラガール』と常磐ハワイアンセンターは復興のシンボルでした。今いわきの人たちは再び『フラガール』のような復興のシンボルが現れることを待っています。


▽特集①VTRふり
金平)ふたたび福島からお伝えします。フリップで私たちが今いる場所を確認したいと思いますが、福島県のいわき市。福島原発から南におよそ50キロほど離れた場所ですけども、このいわき市の今を日下部キャスターが取材しています。

日下部)ここはいわき市でももっとも津波の被害が激しかった、平豊間地区というところです。復旧作業なかなか遅れていたんですけど、ようやく道路上の瓦礫が取り除かれ、こうやって車が通れるようになりました。そして私の周りは後で探しに来る人のために、様々な品、アルバムやCD、何台か携帯電話もありますけど、こういったものがあります。そして風で飛ばないように瓦で重しがされてるんですけど、今朝からの雨ですっかりぬれてしまってます。原発事故に焦点が集まり、福島の地震や津波の被害は、あまりこれまで詳しく伝えられてきませんでした。しかしこのいわきだけでおよそ300人の方々が犠牲になっています。原発事故とそれに加える風評被害で、復興がなかなか進まないいわき市の苦悩を取材しました。

▽特集①VTR受け
金平)日下部さん、取材でいわき市からどんどん北上してって、原発に近づくにつれて復旧が遅れている現実というのを今のVTRからまざまざと見てとれますね。

日下部)そうですね。例え30キロ圏内でも近いという理由で非常に近づきたくないということで物流も止まりましたし、復旧作業も遅れてたんですけど。とにかく現地の被災者のかたからはこういった状況を全国に知らしてほしいと、報道の人たちがんばってくださいという声をよく聞いたんです。ただその一方でメディアに対する批判の声も聞きました。
実は私がいわきに入って一番最初にインタビューを申し込んだ、農業を営む男性なんですけど、この男性の声を借りれば、あなたたちメディアは原発が爆発したときに一番最初に逃げたじゃないかと。それがちょっと落ち着いて彼の言葉を借りれば、のこのこと戻ってきていかがでしたか?と、話聞かしてくださいというのはあまりにも虫がいいんじゃないかと。こういった批判の声も聞かれました。念のため言っておきますが、地元紙とか地元のテレビではしっかりいわきに残って報道続けた社はもちろんありますけど、特にわれわれ東京から来たメディアは爆発の際退避というか避難をしたのは事実です。この男性の言葉っていうのは非常に静かでしたけど、われわれの取材のありかたを非常に考えさせられました。

▽特集②VTRふり
金平)自分も同じ思いを抱きましたけども。さて、次は懸命な処理作業が続いている福島第一原発ですけども、政府は連日会見を開いて情報公開に努めているわけですけど、そこには明らかにされていない情報が海外ではオープンにされているという実態がありました。そして今、日本はアメリカなどの力をかりて、この原発事故を終息させるシナリオを模索し始めました。

▽特集②VTR受け
金平)事故の重大さの評価についてですね、日本側とそれから国際機関とのあいだにギャップがあるんですね。日本側はどちらかというと事故の評価を低く、小さく見せるようなそういう傾向があるのに対して、欧米側あるいは国際機関っていうのはより深刻に評価しているという実情があるんですね。今のVTRで、クリストファー・ラップというアメリカの学者の意見もありましたけど、事故処理まで相当の年数、数年かかるっていうような見積もりをしてましたね。

日下部)それとやっぱりデータの開示の対応、これも非常に僕がまずいなと思うのは、VTRにもありましたが気象庁はあくまでも予想したデータなんだからこれは日本国内で公開しない、しばらく公開しなかったわけです。その一方で取り決めだといって海外の例えばIAEAなどには伝えて、それが海外のマスコミを通じてどんどん情報が出てると。日本にいるわれわれからすればこれは政府はやっぱり何か隠そうとしてるじゃないかというような疑念を生み出す、そういう結果になったと思いますね。

金平)僕もIRSN、フランスの機関ですけど、そこのそのセシウム137の拡散の状況というシミュレーションというのは、実は、政府発表ではなくて、市民団体が海外の方から入手した情報に基づいているのをみて、とってもショックを受けたんですけど。そういうところでの情報開示の仕方っていうのは非常に問題を含んでると思いますね。


▽特集③VTRふり
金平)さて次ですが、福島原発から同心円で描かれた20キロ圏あるいは30キロ圏、さらにその外側で住民たちは放射能の見えない恐怖と戦い続けています。私たちメディアのこうした場所での報道の仕方についても、取材をしていると深く考えさせられる場面がいくつもありました。現地での取材の一部をご覧ください。

▽特集③VTR受け
日下部)ここでもう一回言っておきたいのは、福島第一原発で作られた電気っていうのはすべて首都圏ようで、ここ福島県では全然使われてないわけですよね。ですから福島の人たちが、なんでわれわれがこんな目に合わなければいけないのかっていうのは非常に響いてくるものがあります。

金平)そうですね、特養ホームで働いていた人たちが、もう持ってってくれと、原発を東京にもってってくれと、非常に強い言葉で訴えてたのが印象に残ってますけど、それにしても同心円、南相馬市長が、同心円を書いてしまったからみんな中に入り込めなくなった。それはマスコミも含めてですけど、そういうような人口的な区分けによって対処がなされることに対して、そこでいろんな「風評被害」とかそういうものが出てきてしまったということに対して、ずいぶん時間が経ってるわけですから、もっときめ細かい対応をきちんとすべきだなというのが取材を通じて思いましたね。それと南相馬市の職員が言っていたんですが、「風評被害」を、さきほどマスコミに対する不信の声も出てましたけど、「風評被害」を報じるマスコミからの電話取材に応じて本来の仕事ができなくなったって、これどういうことですか?というふうに、かなり強い言葉で言われたっていうのが本当に今回の取材を通じて強くこころに残ってるんですけどね。
さて、「報道特集」のために、ニューヨーク在住のミュージシャンの坂本龍一さんからメッセージが届いています。坂本さんは明日ニューヨークでチャリティーコンサートを開く予定ですけれど、メッセージをお聞きください。

▽坂本氏のメッセージを受けて最後のあいさつ
日下部)とにかく坂本さんもそうですけど、世界中のアーティストたちが日本の状況を心配して、アーティストならではの支援をしようとしているという姿は本当にうれしい感じがしますね。

金平)そうですね、クラシック音楽指揮者のズービン・メータさんとかね、コンサート開くようですけど、アートの力、文化の力っていうのは、こういう被災者に勇気を与えるという意味で非常に力を持っていて力になりますよね。『報道特集』、来週は通常通り5時半からです。



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