こんにちは。
今回は番組の放送前日に、ノルウェーのオスロで連続テロ事件が発生して大きな被害が出ました。ロンドンの秝場(アキバ)記者が現場に直行して取材していました。現代ヨーロッパに蔓延する極右思想に嵌った白人男性の単独犯行でしたが、「このままでは自分の国がイスラム化してしまう」とか、彼の狂気の思想・主張がネット上で公開されていました。根拠のない白人優越思想は、実は今のアメリカ社会にも広がっていて、かつてオクラホマシティで起きた州庁舎爆破事件も、そうした白人優越思想の持主の犯行でした。
特集でお伝えした「記憶障害の花嫁」は、HBC=北海道放送制作のものですが、正直に申し上げますと、僕はこの分野の作品についてコメントするのが苦手です。その理由については、ここでとても書ききれないので割愛しますが、番組放送前にちょっとした議論がありました。リードの「……この障害と向き合いながら、恋をし、結婚し、母となって懸命に生きた一人の女性の生涯を追いました。」のなかの「障害と向き合いながら」の言葉づかいについてです。僕は、実は当初「障害を引き受けながら」と書いたのですが、「引き受ける」というのは、あまり適当ではないのではないか、との意見が出たのです。「障害を乗り越えながら」「障害と向き合いながら」などいくつかの表現が対案として上がりましたが、もちろんこれは「正解」を求めるような類の議論ではありません。皆さんはどのように考えますか?
23日の放送のスタジオ部分を採録しておきます。
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7月23日OA
報道特集スタジオ部分起こし
冒頭あいさつ
金平:こんばんは。報道特集です。
ノルウェーで起きた連続テロ事件。ヨーロッパを舞台としたテロとしては、ロンドンの地下鉄爆破事件以来の大規模テロとなりました。その犯人像や政治的背景について新たな情報は入っているんでしょうか? 現場で取材中の秝場記者に中継がつながっています。秝場さん。
特集1「どこまで広がる?セシウム汚染」リード
日下部:高濃度の放射性セシウムで汚染された稲わらを与えられていた肉牛が流通していた問題。なぜ、福島第1原発から遠く離れた宮城の稲わらが汚染されていたのか?汚染の実態、そして、そのメカニズムを現地に行って調べてきました。
特集1「どこまで広がる?セシウム汚染」受け
日下部:金平さんね。私が取材した地域では、稲作農家と畜産農家が稲わらと牛の排泄物とのやりとりで連携してですね、非常に有機的な農業を展開してきたわけですね。つまり、食の安全を考えてきたこうした結びつきが、原発事故によって放射能汚染を拡散させる関係に変わってしまったというですね。なんというか、原発事故の残酷さというものを見せられた気がしますね。
金平:松本さんという以前僕らが取材した人も、今では、堆肥によって今度は、畑とか田んぼも汚染されるみたいな、そういうサイクルをちゃんと認識しているんですよね。まあ、これは畜産業者から見たVTRだったんですけどね。翻って肉牛、牛肉を食べる側消費者の視点から見るとですね。今のVTRにあったように、専門家がいくら「365日、毎日食べても大きな健康被害は無い」と言ってもですね、なかなか不安は消えないと思うんですね。その理由というのはもちろん、正確な情報の開示がなくてですね、どんどん、流通してしまった後にようやくこう、情報が入ってくるというようなことがあるからなんですね。そういう意味では、自主的に自分たちで安全を確認するしかないというようなかたちで、今後、全頭検査というのが福島県以外でもどんどん広がってくると思うんですね。
日下部:とにかくですね。徹底的な検査が必要だというのは、生産者のほうも非常に実感しているんですね。ただですね。1回失われてしまった信頼を取戻すのは、時間がかかると思うんですよね。取材したある畜産業者はですね、とにかく時間を東北の畜産業者は持ちこたえられるだうかと、東北から和牛が消えてしまうかも知れないという悲痛な声も聞かれました。
特集2「記憶障害の花嫁」リード
金平:続いての特集ですけれども、まずはこちらをご覧ください。高次脳機能障害。これは、交通事故などで頭に強い刺激を受けて脳の一部が損傷して、記憶や感情といった高度な脳の機能に障害があらわれるというものなんですけども、この障害と向き合いながら、恋をし、結婚し、母となって懸命に生きた一人の女性の生涯を追いました。
特集2「記憶障害の花嫁」リード
日下部:つかささんがですね、命を落とすことになった急性妊娠脂肪肝という病気は、我々が生活習慣病などでよく言う、慢性の脂肪肝とはまったく違うんですね。妊婦の数万人に一人しかかからない極めてまれな病気でして、産科の臨床医師さえ一生に一度出会うかどうかという病気だそうです。
金平:運命とは言っても、あまりにも過酷な運命だと思いましたですね。
日下部:今回の特集ですけども、HBC(北海道放送)が取材したんですけれどもね、当初は、色々な困難に直面しながら子育てするつかささんを追い続ける予定でした。ところが、誰もが予期しないこういう結果になってですね。取材チームでは、放送しないとご家族に伝えたそうです。これに対して、ご家族のほうからですね。つかさだったら、「こういう恐ろしい病気があること、皆に知ってほしい」と言ったでしょうね。と、こういう言葉を頂きました。それが、今回の放送につながったわけです。
金平:記憶障害ですとかね、あるいは、体の障害を「乗り越えて」こういう短い生涯を送ったというよりも、萩田つかささんという一人の人間がですね、懸命に生きようとした力というか強さというか、ひたむきさというんですかね。そういうものに、僕は、非常に強く心を動かされたというのが正直な思いなんですが。特に3月11日の大震災以降の今という時代だからこそ、ひたむきさっていうのに、強く感じた。生きるっていうのは素晴らしいことだなんだなって思いがしましたですね。
日下部:私はですね。つかささんのですね、言葉の1つ1つが印象的でした。力強くてやさしくて、何よりもユーモアがあるという。本当に輝いていました。
金平:「報道特集」、ではまた来週。