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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#27 戦争についてとことん考えてみる季節

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こんにちは。
暑い8月が続きます。日本の放送局も、この季節、年に一回くらいは
戦争についてとことん考えてみる企画をやってもいいと
個人的には常々思っています。
フジテレビのドラマやNHKの地上波ドキュメンタリーで
力作が流れているのを横目でみていました。
正直、僕らの局はあんまり取り組みが少なかったですね。
そういう環境のなかで、僕ら「報道特集」はそれを実践したわけです。
3年がかりの調査報道でした。NBC(長崎放送)の関口達夫さんの
「卒業制作」(今春にNBCを定年になられた)でした。
そうしたら、関東地方の視聴率は低かったですね。
土曜日の午後5時過ぎから
こんなにシンドイ話には付き合ってられませんよ、ということでしょうか。
そうすると、制作者たちのなかの気の小さい人は
動揺したりすることもあります。
僕らの業界には数字のことしか考えていない唾棄すべき人間たちがいます。
ちょっと前、某局の情報番組は、東北の大震災被災地で母親を探し求めて
泣き叫んでいる女の子を<CMまたぎ>で使っていました。
何かが決定的に壊れているのです。
さて、
僕らは、やるべきことをプロの仕事として淡々と続けていくでしょう。
それで30年以上続いているのですから。
先週のスタジオ部分を採録しておきます。

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報道特集 2011年8月13日放送
スタジオ部分

●あいさつ
金平;こんばんは。「報道特集」です。
毎年この時期は、戦争と平和の意味を考える機会が多くなる季節ですけれども、
今日の特集では「日本が核攻撃の最前線基地になっていた」という
衝撃的な証言をお伝えします。
その前に、きょうのニュース、久保田さん。

●特集 リード1
金平:66年前の8月、人類で初めて戦争で核兵器が使われました。
言うまでもなく広島・長崎への原爆投下です。
そしてその後もアメリカは、戦争で核を使うことを
選択肢から外してはいませんでした。
日下部:今回、私たちは4人の元アメリカ軍兵士を取材しました。
彼らの証言から分かったことは、
アメリカが日本を、旧ソ連や中国に対する核攻撃の拠点として位置づけていた
という事実でした。
金平;まず最初の証言者はチャールズ・ブラウン氏。
彼は日本国内で核兵器を扱う極秘の訓練を受けていました。
そして、その場所はこれまで全く知られていませんでした。

●特集 リード2
金平:取材にあたった長崎放送の関口記者です。
関口:私は長崎で20年余りに渡って核兵器を取材してきました。
しかし日本のアメリカ軍基地で核兵器に関わる訓練が行われていたという事実は
全く知りませんでした。知らされていなかったといってもいいと思います。
続いての証言者は沖縄で核兵器を整備したと証言するポール・カーペンター氏。
そしてもう一人は、沖縄の海兵隊基地で訓練中、被曝したトーマス・デレルエレ氏です。
金平:さらに沖縄だけでなく、三沢・入間・横田・岩国、そして板付が
アメリカの核攻撃の拠点とされていたという事実。
その核がベトナム戦争に使われようとしていたことが分かりました。

●特集 リード3
金平:1972年沖縄は日本に返還されました。
「核抜き本土並み」という当時の佐藤総理の言葉通りなら、
沖縄から核兵器は撤去されたはずでした。
関口:しかしその後、有事の際アメリカは再び沖縄に核兵器を持ち込むという
日米両政府の密約が明らかになりました。
日本が再び核攻撃の拠点にされるのではないかという懸念は
今も消えたわけではありません。
日下部:最後の証言者は元アメリカ海兵隊のジェフ・パターソン氏です。
彼の証言からは、沖縄で1990年代以降も
核攻撃の準備が進められていたことをうかがわせる
重大な事実が浮かびあがりました。

●特集 受け
日下部:関口さん。元兵士の口から次々と新しい事実が語られたんですけど、
こうした証言を引き出すには相当苦労があったと思うんですが。
関口:そうですね、一番苦労したのは、彼らは軍を退役しても
核兵器については守秘義務がありまして、
核兵器の訓練とかについて具体的にしゃべれないということで
この壁が一番厚かったというのがありますね。
もうひとつ取材を通して私が感じたのは、外務省の不誠実さですね。
沖縄の建築家がですね、自分の体験をもとに、
ここには、あの施設は核兵器を貯蔵する施設ではないかというふうに言っている。
それをもとに、私が外務省にただしたんですけど、調査をしようともしなかった。
沖縄の声に耳を傾けないんだなっていうことを感じましたね。
日下部:私は、このVTRで見たことは決して過去のことではないと思うんですね。
冷戦が終わったとはいえ、北朝鮮核問題があります。
それと中国は最近軍事的な存在感を非常に増していると。
アメリカにとっては沖縄の軍事的な重要性はむしろ増してるんじゃないかと、
そこを忘れちゃいけないと思うんですね。
金平:日下部さんが今言ったように、過去のことじゃないという意味で言うと、
ちょっと突飛かもしれないですけど、私たちが今経験している原発事故ありますね。
それと決して無縁じゃないと思うんですね。
なぜならば原子力発電の運転によってプルトニウムができるんですね。
プルトニウムっていうのは実は日本が今、世界屈指の保有国になっていて、
40トン以上、核兵器数千発分という、
その軍事利用の可能性ということについても
原発の未来を考えるときには思いを出ださないといけない
というふうに思いますね。

「報道特集」ではまた来週。



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