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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#38 野良猫たちの運命 

こんにちは。早いもので、もう11月です。なんだか落ち着かないです。
10月29日の放送では、野良猫の捕獲問題の取材にかかわったのですが、取材の際に保健所で出会った犬や猫たちはもうこの世にいないのだなと思うと、人間サマの身勝手さを考えずにはいられません。
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保健所にいた子猫。もうこの世にはいない。
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自治会の捕獲前日に愛護団体が緊急に引き取った猫。命拾い。
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同上。命拾い。

実は、僕自身も2匹の猫を17年飼っています。もともとはそれほど猫好きでもなかったのに(子供のころは家では犬を飼っていた)、今は変わりましたですねえ。猫語も少しばかりわかる。ははは。取材してわかったのは、捨て猫の8割以上は仔猫だということ。避妊・去勢手術に要するお金が1.5万~3万くらいかかってしまうことが、共生の妨げになっていること。そのことも手伝って、「地域猫」という考え方がなかなか根付かないこと。「何で迷惑を被っているワシらがそんな金を出さにゃあかんの?」というあからさまな言葉を何度も聞きました。それにしても、ガス室と焼却炉からなる殺処分の場所をみて、からだの中に重たいものを感じました。震災被災地の取材に行った際、飼い犬や飼い猫に餌をやるために避難指示に従うのを渋っていた人々がいたことをよく覚えています。僕はそれらの人々を決して愚かだとは思いません。

無期懲役囚の取材は、巡田忠彦記者の丁寧な取材でした。この問題は、実は死刑制度の問題とも密接に関係しているテーマです。刑罰の究極の目的が、処罰による復讐ではなく、矯正・更正にあるのだとしたら、無期懲役囚の終身囚化は何を意味するのか。深く考えなければならないテーマです。

以下、10月29日放送のスタジオ部分を採録しておきます。
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「報道特集」10月29日 スタジオ部分

【挨拶】
金平:こんばんは。「報道特集」です。
福島第一原発の事故で海に流れ出たセシウム137の総量について、フランスの研究機関が2,71京ベクレルという途方もない量だと推定しました。これは東京電力の発表のおよそ30倍に当たりますが、一体どっちが本当なんでしょうか。
それではさっそく今日のニュースです。

【特集1 リード】
金平:特集です。三重県の小さな町の自治会が「これ以上猫の害には耐えられない」と、今月野良猫の捕獲を実施しました。保健所に送られた猫たちは殺処分という運命が待っているんですが、動物愛護団体などからは抗議の声があがり様々な動きがありました。現地で取材しました。

【特集1 受け】
竹内:猫を殺処分するなんて可哀想という意見、その一方で野良猫に迷惑しているという人がいますが、処分しても一時的なことで、捨てる人がいる限り、この根本的な解決にはならないし、ずっとその議論が続いていくということですよね。
日下部:私はこの猫を殺処分する担当の方の言葉に考えさせられました。「本当は捨てた人が責任を取るべきで、代わりに猫を殺処分するのは非常に悲しい」「自分も猫や犬を飼っているんだ」とおっしゃっていましたね。猫を排除するのか、どう保護するかはなかなか結論が出ないと思います。けれども現実問題として、そういう間にも引き取り手のない猫はどんどん増えていって、その中で結局は議論と全く関係ない人たちがそういった作業をしている現実を考えないといけない気がします。
金平:震災や原発事故の被災地に取材に行ったときに驚いたことがあります。あんなに、人間が酷い目に合っているのに、飼っている猫や犬のことを思いやりもっている人たちがたくさんいたことです。避難指示区域に取材に行った時、何故逃げないんですかと聞くと「犬や猫がいるから餌をやらないといけないから逃げないんです」と。そういう人たちがいたことを思うと、正直救いを感じましたですね。野良犬・猫を捨てる人がいるのが一番の問題ですが、今回、殺処分のプロセスをあえてお見せしたというのは、そういう事を皆さん自身に考えて欲しいという問題提起の意味があるのです。

【特集2 リード】
日下部:続いての特集です。全国の刑務所には1800人の無期懲役囚が収容されています。仮釈放の基準が厳しくなる中高齢化により塀の中で死亡するケースが増えたり、刑務所内が介護施設化する傾向も見られます。今まであまり知られることのなかった無期懲役囚の実態を初めて取材することが出来ました。

【特集2 受け】
竹内:取材した巡田忠彦記者です。巡田さん、無期懲役と終身刑は全然別のもの・・・そもそも日本に終身刑はないんですよね。
巡田:日本にはありませんね。よく勘違いする人がいるんですが、終身刑は一生塀の中にいて塀の中で死ぬ。無期懲役は仮釈放がある。で仮釈放に望みを託して受刑生活しますから割と日本の刑務所の治安がいいと言われていますが、それを支えているのではないかと言われています。
日下部:それにしても仮釈放されるかもしれない思いが無期懲役囚の行動や態度に非常に大きな影響を与えていると思うんですが、現実に、仮釈放がどんどん遠のく状況にある。これは無期懲役囚にも色々な変化や動揺といったものは・・
巡田:動揺もありますし、最大の関心事なんですね。でも、まだ制度としてはありますから微かな望みでも・・・VTR見ていてあの運動の仕方は凄まじいですよね、執念というか生きることへの執念。非常にそれを感じました。インタビューをしていても、取材していても相当気になるようで「どうなるんですか?」って聞く無期懲役囚も多かったですね。
金平:90歳の受刑者がまだ外に出て一生懸命やりたいんだ、という生きることへの希望や執念がじわーっと伝わってきて・・一方で日本の刑罰が被害者感情などを考慮するあまり厳罰化の方向にありますね。そのあまりの落差にどうしたらいいのかという思いを感じました。
巡田:ただ両方あって、1800人の無期懲役囚いるということは被害者が1800人・・・尊い命を失ったという現実があるんですね・・・。
竹内:以上、特集でした。

【エンディング】
岡村:さてプロ野球は今日からクライマックスシリーズが始まったわけですが、一昨日のドラフト会議は日本ハムが菅野投手を指名したのには驚きましたね。
竹内:そうですよね、急にという・・。巨人の
岡村:巨人の単独指名と見られていたので。ドラフト会議は何度か取材に行っているのですが、くじ引きで「就職先」が決まるわけですから、くじを引く瞬間の息を飲む緊張感は凄いものがありますね
金平:見ていて、何だか可哀想だと思う時もたまにあったりして・・・
日下部:でも入ってみると意外に良い会社というのもありますから
金平:逆もあるけどね(笑)
一同:(笑)
金平:「報道特集」、それではまた来週!



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