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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#64 失敗は成功の元? ええっ?

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こんにちは。13日の金曜日の朝、北朝鮮のミサイル/人工衛星の打ち上げは失敗しました。やれやれ。僕は上空通過予定地点とされた沖縄県・与那国島と石垣島などに取材に行っていたのですが、発射の情報も、現地の行政には後手後手にしか伝わらず、韓国やアメリカのメディア報道によって、「何かがあったらしい」という動きを感知した程度でした。当日の最大のニュースは、北朝鮮政府が失敗を正午のTVニュースで報じたことだったかもしれません。ただし、その後「失敗は成功の母」などという言い訳めいた言葉も付録としてついていたようですが。沖縄の場合は、万一の場合に備えるとして、大規模な自衛隊配備や在沖米軍の動きがあったりして、それはそれで別の文脈も考えさせられることがありました。けれども結論的には、やれやれといったところが実感です。
13日の金曜日は、もうひとつ、政府が大飯原発の再稼働を決定するという大きな動きもありました。2012年4月13日が後世の人々にとって、最も不吉な金曜日だったと言われないことを祈ると同時に、その論拠をしっかりと検証しなければなりません。スタジオ部分を再録しておきます。
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4月14日 スタジオ部分

オープニング
金平:こんばんは「報道特集」です。北朝鮮がミサイルを打ち上げに失敗したまさにその日に、政府は大飯原発の再稼動させることを決めました。判断の失敗が繰り返されなければいいのですが。その原発関連のニュースからです。

特集リード
金平:北朝鮮の人工衛星と称する事実上のミサイル打ち上げは失敗に終わりました。その瞬間、北朝鮮市民は何を思っていたのでしょうか。現地から電話を通して聞こえてきた生の声です。

スタジオ受け
竹内:今日は専門家の方におこしいただいています。元共同通信編集員の平井久志さんです。宜しくお願いします。
平井:こちらこそ
竹内:早速ですが何ですが、平井さん。今回の打ち上げ失敗はどんな所に着目されていますか?
平井:そうですね。実は今回は成功するんじゃないかという見方がかなりあったんですね。それは1つは海外のメディアを随分招待していますし、それに随分情報公開もしていた。先ほども紹介がありましたけれども北朝鮮と非常に関係の深いイランで3回も衛星を軌道に乗せることに成功している。だから、今回は成功するんじゃないかという見方が一番あったんですけれども、こういう結果に終わった。だから北朝鮮の技術水準の地金が出たというんですか。それともう一つは政治スケジュールにあわせてやる北朝鮮の軍事優先、先軍政治というものの無理さ加減、そういうものが露呈されたという面もあるのではないでしょうか。
金平:なるほど。その北朝鮮の首都・平壌には黒河記者がいます。早速中継で黒河記者に聞いてみたいと思います。黒河さん。

平壌と中継
金平:今回、北朝鮮はですね、国内にたくさんの海外メディアを招待して、それにも関わらず、ミサイルの打ち上げ失敗に関しては今のところ、何の発表も説明も無いわけですね?それはどういう経緯なんでしょうか?
黒河:結局は失敗に終わった打ち上げですけれども、こちらのメディア当局としましては2006年や09年のケースと同様に結果がどうあれ、成功したものとして発表する準備を進めていたのではないかと思われます。こちらのホテルに設けられたメディアセンターには直前になって大型のスクリーンが用意されていまして、これは打ち上げ成功の映像を公開することを前提にしていたものと見られます。また打ち上げ失敗の一報が国外から伝えられた直後には担当者がメディアセンターの席について上からの指示を来るまでもう少し待って欲しいと話す一幕があったことは、当初は打ち上げ直後に何らかの発表が予定されていたことうかがわせます。ところが、国営放送によって国内外に打ち上げ失敗の事実が淡々と伝えられると、その後は平壌にいる海外メディアに対する説明が一切なくなりました。失敗を認めるというトップの意外な判断があった下った一方で、メディア当局にはその前提が無かったために失敗を海外メディアにどう伝えるのか対応が具体的に想定されていなかったことも考えられます
金平:黒河さんはそちらでどの程度自由に取材が出来ているんですか?
黒河:取材をしたいものについては、当局から派遣された案内役という人に希望を伝えた上で、限られた場所に案内されるという形が基本でして、もともと自由な取材が許される国ではありませんが、今回はより制約が多くなっています。当局者によれば、今回受け入れた報道陣の数は世界19カ国からおよそ170人でこの人数が同時に入るのは過去最多だということです。案内役や取材車両の数には限りがありますから全員が大型バスに分乗する形で団体行動を強いられ、単独取材は出来ていません。また金正恩第一書記が登場する現場で設定された取材は現地に着くまで取材対象はおろか、行き先まで教えてもらえませんし、集合してから出発するまでのセキュリティチェックも2時間半もかかるといった不自由な状況もあります。以上、平壌でした。


日本の対応ふり
日下部:次は日本の対応です。今回の打ち上げ失敗を巡り政府による情報伝達に遅れがありましたが、前回2009年の打ち上げの際に起きた人為ミスとの関連も指摘されています。日本の危機管理に死角は無いのか検証しました。

スタジオ受け
竹内:ではここで、もうお一方ゲストです。元自衛艦隊指令官の香田洋二さんです。宜しくお願いします。香田さん、情報の伝達にという点については自衛隊と総理官邸の連携というのはどうだったんでしょうか?
香田:はい。情報を扱う際に、これは軍だけに限りませんけれども2つキーワードがあります。1つは正確性。1つは迅速性です。今、VTRでありましたように3年前には迅速性に重きを置きすぎて少し勇み足をしてしまった。今回はおそらく正確性に重きを置きすげてやや遅れた発表になってしまったということ。必要なことは考えうるあらゆるシナリオをしっかりと事前に作って、官邸、防衛省、自衛隊、地方自治体までしっかりと参加をした事前の訓練というものの回数を重ねていく。これしか解決策はないと私は考えています。

(以下、続く)



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