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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#67 性急に正解を求める現実の中で

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毎週、放送が終わると、視聴者の方々からたくさんの電話が局に寄せられます。今回の特集の「向精神薬の過量服薬(overdose)」は、放送後、特にたくさんの電話がありました。確実なことは、日本においては向精神薬の消費量が非常に増えていることです。精神医学については学生時代から多少関心があって、もっぱら本を読み漁っていた時期がありました。映画『カッコーの巣の上で』は今でも好きな映画のひとつです。レインの『結ぼれ』もすばらしい本だと思います。精神医療の世界は深く複雑な世界です。マルバツや黒白で簡単には論じられない世界です。性急に「正解」をもとめる傾向が強くなっている今の世の中で、何が「病い」なのか、「治す」とは何なのか、医者と患者の関係とはそもそもどのようなものなのか、といった本質的な問いに向き合うことになるのが、精神医療の世界でしょう。その意味では、これからも長く追っていかなければならないテーマです。
さて、スタジオ部分を再録しておきます。
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2012年4月28日OAスタジオ部分

冒頭あいさつ
金平:こんばんは。「報道特集」です。ゴールデンウィークがスタートしましたが、皆さんは、どうお過ごしでしょうか。「報道特集」は今週も内容の濃い特集を用意しました。後ほどお伝えしますが、続いては、脱原発関連のこのニュースです。

特集1 リード
金平:特集です。民主党・小沢元代表に無罪判決が言い渡されました。これによって今後の政界は一層、先が見えにくい状態になりました。小沢裁判とは一体なんだったのでしょうか。裁判が含んでいる問題点と、政局の今後の行方のなかで党分裂回避の重責を担うキーマンの本音とを取材しました。

特集1 受け
日下部:輿石幹事長は「党はまとまっている」と言っていたんですが、果たしてどうなんでしょうか。判決当日、私は小沢さんを支持するグループを中心に取材していたんですが、これまで耐え忍んできたというか、無罪判決によって重石が外れたというか、皆さん高揚していて、そういう姿を見ていると、かえって党がまとまるどころか、敵・味方がはっきりしてきてしまったのではないかという気がしたんですね。つまり、「野田降ろし」と「小沢はずし」の動きが尖鋭化するんじゃないかという気がしました。野田さんは消費税増税に「政治生命をかける」と言っているし、これに反対する小沢さんのほうは「最後のご奉公だ」といって一歩も引かない。連休明けには民主党内の主導権争いが表面化すると言われているんですけれども、輿石幹事長に党をまとめる秘策はあるのかどうか。決め手がないから、党内融和と言うしかないという辛口の見方も出ているんですよね。
金平:もう一つの大テーマである「そもそも小沢裁判とは何であったのか」という点、つまり、検察捜査と政治の関係なんですが。実は、弘中弁護士、小沢氏の主任弁護人ですけれども、彼から話を聞いたんですが、この人は「無罪請負人」なんていう異名を取っていて、そういう人なんですけれども、この人の弁護士の話でとても面白いと思ったのは、ロッキード事件やリクルート事件など過去いろんな事件を含めて、検察というのはいろんな政治的動きに利用されたり、ある種の政治的役割を担うということがあるんだけれども、ある時期からとっても検察の体質が変質してしまって、(これは別の人の言葉ですけれども)、「思い上がった世直しの意識」で暴走するというような体質ができてしまったのではないか、と。今度の小沢裁判もそのような面があったのでないかと指摘していましたけれども。今回の判決でも、検察の捜査のあり方については非常に厳しい指摘がなされていました。今後、検察庁は、ますます出直しというのを迫られているというふうに判決文を読んで私は感じました。

特集2 リード
日下部:次です。不眠やうつ病治療に欠かせない向精神薬。国内の市場規模はここ10年でおよそ2倍に増えています。しかしその一方で向精神薬を大量に服用して死亡する人や薬物依存症になる患者も増えています。精神医療の現場で今何が起きているのか。向精神薬が大量に処方されている実態を取材しました。

特集2 受け
竹内:こうした状況を国も問題視していまして、こちらは厚生労働省が日本医師会をはじめとする精神医療会にあてた通知なんですけれども、その中で、向精神薬の過量服薬を行っていた例を認め投与日数や投与量に注意を払うよう呼びかけているんですね。
日下部:こちらのほうは、精神医学会でも権威ある学会の雑誌なんですけれども、ここでも一番最初の黄色いページで向精神薬の扱いについて注意するよう会員つまり、お医者さんに向けて促しているというわけです。言うまでもないことですけれども、適切な処方によって症状が抑えられている患者さんは多いわけです。問題は大量に処方するお医者さんの側と過剰に服用してしまう患者さんにある。患者さんが増えたことでお医者さんには時間がないからどうしても薬に頼ってしまう。そして効果が現れないと次々と同じような系統の薬を出してしまうという悪循環があるし、患者さんのほうは藁にもすがる思いで薬に手を出してしまうということがあるわけで、家族を含め周りの人が患者さんを見守ることが大切だと思いますけどね。
金平:VTRの中で、元病院関係者の方が「大前提はお金儲けです」と言っていましたね。とってもショッキングな証言ですけれども、すべての病院がそういうわけでは勿論ないですが、製薬業界と医療機関が大量に薬が処方されると共に儲かるという構造というのは、この問題の背景を考えるうえで実にいろんなことを含んでいるなと実感しました。月並みですけれども「世は仁術」という言葉の意味をかみ締めたいという思いがしました。

エンディング
竹内:ゴールデンウィークに突入しましたが、来週5月5日夜11時ごろに泊原子力発電所3号機が定期検査のため止まることで、国内50基の原発が全て止まることになりますね。
日下部:日本で稼動している原子力発電所がゼロになるというのは今回初めてだと思っていたんですが、実は調べてみると1970年の4月から5月の間に止まっている。ゼロだったそうですね。42年ぶりということなんですね。ちょうど大阪万博の年ですけれども。
金平:竹内さんも岡村さんも生まれるはるか以前のことでしょ?
日下部:その当時とは原発の数が全然違うので、今と比較するのはちょっと違うのかもしれないですけどね。
金平:ある意味では3月11日の大震災以降、日本で原発がゼロになるというのはとっても象徴的な意味を持つような気がするんですね。来週の「報道特集」はこのテーマについて取材して特集でお伝えしようと思っております。
それでは「報道特集」また来週。



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  • newtonnさん
  • 2012/05/10 20:27
水曜日のBSフジ、プライムニュースをご覧になっただろうか。自民党谷垣総裁と反町キャスターの掛け合いは白眉のものであった。我々が求めているものが、そこにあった。報道のテーマは、時代、今をどう見るかにによって変わってくる。今が昨日の続きの日なのか? それとも今は、時代の変換期で大きなパラダイムシフトが起こっている時期なのか?私は後者であり、テーマに不満を持っている。
  • 村上弥生さん
  • 2012/05/06 14:20
友人がパニック障害になりその薬の副作用で立っていることもままならず、お茶を入れてくれる急須の蓋が飛ぶほどの手の震えを目の当たりにして胸の痛む想いをしたことがあります。結局彼女は病院を変え、薬をやめ、今は日常生活が出来るまでに恢復しました。
専門病院の治療を受けながらなぜこんなことになるのだろうと思っていましたが番組を見て容易でない根の深さを知りました。

「カッコーの巣の上で」はその昔私も観ましたがいったいどちらが人として正常でどちらがが異常なのか、どちらが人間的なのかちょっとやそっとでは判らない、そしてそれは総てのことに通じると寒気がしたことを覚えています。

  • newtonさん
  • 2012/05/04 18:36
?「カッコーの巣の上で」は秩序と個人の自由が主テーマでは、秩序を重んじる看護師長と自由を求める主人公の物語で諦めていた他の患者も目覚めて行く。例えが違うと思うが。
  • あかつきさん
  • 2012/05/03 13:30
勇気ある報道に心から感謝します。大きな反響があったということは、それだけこの問題に苦しんでいる方が多いのだと理解します。

しかし、考えれば考えるほど、なぜこの問題が長らく放置され、しかもまだまだ解決していないのかという疑問にぶち当たります。

いや、関係者は皆気付いているのかと思います。その「暗部」にこそ足を踏み入れていただきたいというのが、民放の良心「報道特集」に期待する私の素直な気持ちです。
  • やまさん
  • 2012/05/03 12:33
向精神薬の特集をみました。
わたしは薬を飲んでいる当事者です。
病院に入院した経験も6回あります。
ODについて知人がODをした経験がありました。
入院中に話を聞く機会もありましたが、
やはり薬の管理を当事者がするというのは
その人その人によるんですが難しいテーマだと
思います。
わたしは服薬管理を自分で行っていますが、
服薬量も少なく、病院で処方されるのも2週間分です。
ODをしたことは一度もありません。
せいぜいアルコールを嗜んだあとに眠剤を飲むといった程度です。
ODをする人はうつ病患者さんに多いように私の知る限りは多い気がします。
自殺願望の強い人に多量の薬を一ヶ月分、処方するのはかなり危険な医療行為だと、私は考えます。