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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#70 沖縄問題を「歳時記ネタ」にしないために

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 テレビ報道の仕事を始めて以来36年になります。そうしたなかで、僕自身は、沖縄との縁が非常に深い取材者だと思っています。これまでも何本も特集や企画ものを作ってきましたが、原発に関する自分の態度を顧みた時と同様に、おまえはこれまで一体何をしてきたのか、という自責の念がこのところますます強くなってきました。過去をしっかりと見つめ、そこから教訓を学び取り、それを未来に活かしていくこと。そういう地道な作業が必要だと今現在も思っています。けれども、僕らの周囲の環境を考えてみた時、こと沖縄問題に関しては、テレビ報道は無力になりつつあるのでは、と危惧しています。もちろん過去に僕らの先達たちが素晴らしい取材と鋭い問題提起を行ってきたことを僕は知っています。TBS=JNNの過去の作品にも良質の作品が数多くあります。NHKや日テレも事情はほぼ同じだと思います。ここは、想像力の貧困化に打ち克ち、しっかりとした視座=立ち位置をつくっていかなければならない。僕はその決意を新たにしました。
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学級崩壊の問題については、僕自身の個人的な見方では、教師のスキルとか教育技術の向上とかのレベルで解決できる問題ではおそらくないのだろうと思っています。だからと言って、先生たちの必死の取り組み・実践は当然あって然るべきだし、それを観念論で否定するつもりは毛頭ありません。「ネオ学級崩壊」なるものがあるのかないのか僕自身は現場をみていないのでコメントしにくいのですが、今後とも広く多角的な取材をしていくことが必要でしょう。
5月12日のスタジオ部分の再録です。
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<冒頭挨拶>
金平:こんばんは。「報道特集」です。日曜日に関東地方で竜巻が猛威をふるい大きな被害が出ました。この竜巻といいゲリラ豪雨といい最近の
日本のお天気はなにか極端化している気がします。続いては、被災地からのこのニュースです。

<特集1リード>
金平:特集です。来週の火曜日5月15日日は、何の日か皆さんご存知でしょうか?私は、今週、沖縄に住んでいるある一人のおばあさんに会 
いに行きました。

<特集1受け>
日下部:ここにですね、沖縄の新聞があるんですけど、最近の世論調査では、沖縄に基地が集中しているのは不平等、差別だと感じている人が、  
沖縄では全国平均のほぼ倍になっているんですね。本土の人間、つまり我々ですけれども、我々が見ているのは、所謂全国平均ばかりでね、こうした沖縄とのギャップに気付いていない。最近は、もしかすると、このギャップが更に深まっている気もするんですけどね。
金平:僕は正直言いますと、基地の外の住宅と仮設住宅の「思いやり」のあまりのコントラストに、正直「(僕らの国の日本政府というのは一体)どこの政府なんだ?」っていう思いをしたんですけれども、沖縄っていうのは、私自身もずっと長く関わっているテーマですけれども、日本のありようを写し出す鏡のような存在だというふうに思っているんですが、皆さんは、このVTRをどの様にご覧になったでしょうか?

<特集2リード>
日下部:学級崩壊が社会問題化してから、10年余り、有効な解決策も見つからないまま現在も教育現場を悩まし続けている問題です。学級崩壊を経験した世代が、今、社会に出ようとしています。そして過去の経
験が彼らの就職活動や進路にも影響を与えています。

<特集2受け>
日下部:取材をした中島記者です。私の世代は、教師に対する反発や反抗はあったけれども、いわゆる学級崩壊っていうのは無かったわけです。
今回、取材したきっかけというのは、中島さん自ら学級崩壊を経験   したとかそういうことがあるんですか?
中島:私自身は、学級崩壊の経験は無いんですけれども、私が通っていた、割りと人気のあった先生が、私が卒業して数年後に学級崩壊にあって、学校に行けなくなったというような話は聞いたことあります。
竹内:私も世代が違うので、学級崩壊の経験というのは無いんですけれども、それだけに実態がどうなのかというのが湧かなくて、具体的な  定義っていうのはあるんでしょうかね?
中島:明確な定義というのは、文部科学省とかでも出していないんですけれども、一般的に言われているのが、VTRにもあったように授業中に立ち歩いたりとか、先生の話に耳を傾けず、友達と話していると。私が見た中でも、授業中にリコーダーを吹き始めるお子さんがいたりですね。そういうのがありまして、そういうのが、学級崩壊として、一定期間、授業が成り立たないようなのが、学級崩壊と見られているということですね。
金平:それにしても、VTRの中で先生の駆け込み寺の主催者が言っていましたけれど、「教師を育てる雰囲気が社会に無い」とかね。あるいは、
「教職に対する魅力がなくなってきている」というふうに言ってました
よね?その発言聞いていて、本当に極めて深刻な問題だなと思ったんで
すが?
中島:その教育というのは、次の世代の子どもたち若者を育てる非常に重要なテーマだと思うんですけれども、やっぱりそこに対してなかなか今の教育現場は厳しいというのは、若者達も感じていまして、今回取材した千葉大学の教育学部の学生さん達も、話していてすごい魅力的な学生さんたちで、話していて、頭も良くて優秀な方達だったんですけれども、それゆえ客観的に今の教育現場を見ているのかなと。子どもが好きで教師になるだけだったら、別に他の道だって子どもに関わることが出来るというので、教員ではなく民間企業に勤めようとされている方も増えてきたのかなというふうに思いました。

<エンディング>
竹内:さて、今日の特集は二つとも学校の先生がカギとなりましたけど、
岡村さんは印象に残っている先生とかいますか?
岡村:私は、公立中学だったんですけど、数学の先生が希望者にはどんどん難しい問題を解かせてくれて数学好きになりましたね。
竹内:理系ですもんね。
岡村:はい
日下部:小学校とか中学校とかね小さい頃の先生はよく覚えていて、優しい先生もいっぱいいたけど、私の場合、覚えているのは怖い先生だな。一番。
金平:小さい頃の先生ってすごい人生に影響を与えられました。僕の場合はね。やっぱり教育の場で、先生って大事ですよね。
「報道特集」また来週。





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  • 有我 譲慶さん
  • 2012/05/17 12:18
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特集良かったです。沖縄問題では知花さんがお坊さんになって、しかも日の丸もとってあるというのが意外。沖繩の方の複雑で深い思いを知りました。
世界最強の大帝国の軍隊に「おもいやり」というのは、言葉として不適切。基地の負担がのしかかる沖縄の人、被災地の仮設住宅の人たちに、政府は思いやっていない現実が見事に描かれていましたね。
橋下徹の言うような、教師個人の資質や能力の問題などではない。格差拡大のなかで、教育に競争原理を持ち込むことではますます、学級崩壊を促進するのではないか。学級崩壊は構造的な問題と感じました。学級崩壊という、教師が無力感に向きあわざるをえない事態には、システムの見直しが必要だと思います。この難しい現場を1人の教師に委ねる事自体が限界なのでしょう。海外の教室のように、複数の教師でチームとして対応しなければ、教師が潰れていくと、危機感を持ちました。