今年もあっという間に時間が過ぎ去っていく。あと42日しか残っていない!困ったなあ。やることが山ほどある。
さて、前半は日下部キャスターのフィリピン台風被害の現地報告と、香港をベースにしているフリーランスのジャーナリストの台風襲来時のリアルタイム映像が中心の特集でした。それにしても凄まじい台風の猛威でした。近い将来、あのような台風が日本にやってくる恐れがあるという学者の分析もありました。
後半は、「特定秘密保護法案」特集の第2弾でした。僕自身の基本認識は、秘密の多い国は市民生活が息苦しい非民主的な国が多い、と。旧ソ連、北朝鮮、独裁的な政治体制の国。37年の長い記者生活から得ている認識です。先進国の必要条件は、情報公開が進んでいるということです。僕らの国はいったいどこに向かっているのでしょうか。
16日放送のスタジオ部分を再録しておきます。
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2013年11月16日O.A スタジオ部分
【あいさつ】
金平:こんばんは。「報道特集」です。
フィリピンを襲った史上最大級の台風の被害の現地取材、
そして、実際の台風の猛威をリアルタイムで記録した貴重な映像を
特集でお伝えしますが、続いてはこちらのニュースです。
【特集1 リード】
日下部:最大瞬間風速90メートルという
想像を絶する台風が襲ったフィリピン・レイテ島。
犠牲者は判明しているだけで、3600人を超えていますが、
救助・復興作業が遅れ、
未だ被害の全容は分かっていません。
壊滅的な打撃を受けた島の中心都市、
タクロバンに入り、被災地の現状を取材しました。
【特集1 受け】
金平:日下部さん、実際の現地の映像をあらためてみると、
想像を絶した被害ですね。
日下部:そうですね。
どうしてもタクロバン中心のニュース報道になっているんですけど、
実際にレイテの東海岸を北上すると、
想像より広い範囲で壊滅的な被害が起きているということですよね。
本当に実感しました。
あと、東日本大震災のときも、支援が偏ってしまうというか、
ひとところに留まってしまったり、あるところが行かなかったり
というのがあったんですけど、
まさにそれと同じことがこの地域でも起きていると。
タクロバン以上に深刻な場所がいくつかあるという
未確認情報も耳にしました。
岡村:一部では治安が悪化しているという情報もありますが、
実際に現場はどうですか?
日下部:タクロバンに行く前は、別の地元の人が、
あそこは危ないから、行かない方がいいと言われたんですけど、
実際に入って、略奪の現場も見ましたし、
治安が悪くなっていることは確実なんですけれども、
ただ、私が実際に危ないと思ったことは無かったし、
取材中に我々の車がパンクしたときには、
被災地の人達がジャッキを貸してくれたり、助けてくれた。
これも東日本大震災のときに感じたように、
被災地の人達の強さというか、優しさを感じたんですけども。
今回こんな状況にあるのに、
どうして彼等は我々を笑顔で迎えてくれるんだろう
というケースが何回もありました。
岡村:先ほどのVTRにも出てきました、
名古屋大学の坪木教授によりますと、
このまま地球温暖化が進むと、
将来的にこのようなスーパー台風が
日本にも上陸する恐れがあると言うことです。
ご覧いただいているのは、2070年から80年の台風を
シュミレーションしたものです。
上陸直前で880hPa、風速70メートル~80メートルという
衝撃的な結果が出ています。
日下部:そしてお知らせです。
JNNでは、フィリピンの被災者を支援するため、
フィリピン台風災害募金を実施しています。
いただいた救援金は、全額日本赤十字社を通じて、
救援、復興にあてられます。
詳しくはTBSのHPをご覧ください。
ご協力をお願いします。
【特集2 リード】
金平:次です。
「特定秘密保護法案」の審議が国会で続いています。
私たちの生活と、一見関係が薄いと思っておられる方もいると思いますが、
果たしてどうなんでしょうか?
また、もし政府が自分たちにとって都合の悪い情報を
「特定秘密」と称して隠し続ける場合はないのでしょうか?
この法案の問題点を考えました。
【特集2 受け】
岡村:秘密保護法案をめぐっては、
秘密の指定が適正かどうかをチェックする
第三者機関の設置など、与野党の修正協議が早速始まっています。
自民公明の与党は、来週にも衆議院を通過させ、
参議院に送りたい考えですけれども、
この法案の審議が始まったのは先週の木曜日ですので、
一週間で修正協議が本格化するという
非常に早いスピードで進んでいますよね。
日下部:国や国民の為に、守るべき機密はあるんだと思います。
重要なのは機密を含めた情報は一体誰のものなのかと
こういう視点だと思います。
国民全体のものなのか、それとも一部の人達のものなのか、
国会の議論でも是非その点を意識していただきたいですね。
金平:後から振り返ってみて、
あぁ、あの法律が出来てから取り返しのつかないことになってしまった
というの「歴史の分岐点」があると思うんですね。
例えば、1925年の治安維持法とかね。
この法案もそういう中のひとつになってしまうという
危惧を持つんですけど。
過去に国民の知る権利や取材・表現の自由を
制限しようという動きに出たときには、
私たちの仲間は、いろんなレベルで反対の声を上げてきた経緯があるわけですね。
例えば、今から11年前ですけれども、
僕らの大先輩である筑紫哲也さんが、
自ら好んでいた「多事争論」という言葉をもじって、
「多事封論」といって、
言論の自由を封じようとするような動きに対して、
危機感を表明したときの画面なんですけれども、
秘密が横行する社会というのは、
非常に息苦しい非民主的社会だという風に僕は思うんです。
修正協議というような、国会内だけどの駆け引きで
この法案を成立に向かわないように、
いまは立ち止まってきちんと考えるべきだと思います。
岡村:以上、特集でした。
続いては佐藤キャスターのスポーツです。
【エンディング】
岡村:次期、中日アメリカ大使の
キャロライン・ケネディー氏が昨日来日しましたね。
日下部:初の女性アメリカ大使。
金平:華やかな人で、
オバマ大統領と直接電話でいつでも話せるという
数少ないリベラル人脈ですけど、
日米関係、今の時期で言うと、
「情報公開」についてアドバイスしてほしいですけどもね。
「報道特集」では、また来週。
今、一度、立ち止まり、歴史を振り返り、急ぐことなかれ。
ご都合主義の『特定秘密保護法案』は、あってはならぬ。
統制や抑圧の社会の在り様は、国を崩壊させる。
「自由(表現)」人権・尊厳あっての「生」なのだから。
私は、筑紫さんのDNAを忘れません。