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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#146 赤ちゃん縁組み--家族とは何だろう

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「戦後」から「災後」へ、そして「戦前」へ。今、僕らの身の回りで起きていることがらは、そのような時代の変わり目を感じさせるものではないでしょうか。TPPもその本質は、安全保障面からのアメリカの強い要請(大きな枠組みで言えば、中国封じ込め)に基づいたものという側面がある僕は認識しています。しかし、そのような分析をしたうえで考えなければならないのは、民=国民が被る影響の大きさです。国民が苦しんだり、産業が衰退して人々が職を失うということの重みをどれだけ為政者が感知できるか。それが見えてこないのです。後半の特集は、愛知方式といわれる「赤ちゃん縁組み」をめぐる特集でした。根っこのところにあるテーマは、家族とは何か、ではないでしょうか。僕自身も特集をみて多くのことを考えさせられました。なぜか先日亡くなられた「賢治の学校」の鳥山敏子さんのことを思い出しました。スタジオ部分を再録しておきます。
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冒頭挨拶
金平)こんばんは。「報道特集」です。
議員会館で受け渡しが行われていた猪瀬東京都知事への5000万円は慌てて返却されたようです。
なんでも秘密にしてしまおうというこの国の中で、ちゃんと納得のいく説明をしてほしいものです
さっそくそのニュースです。

特集1リード
岡村)特集です。TPP環太平洋パートナーシップ協定が年内妥結をめざして大詰めです。
すべての関税撤廃を迫られている日本は、守りぬくべき国益として5項目を死守しようとしています。
しかし、日本の生産者は情報が入らないなか不安を募らせています。
ある島を支えてきた作物について取材しました。

特集2受け
日下部:VTRを見てですね、本当に徳之島にとってサトウキビが特別な存在であるということがわかったんですけど、一方で消費者の立場から見るとね、もともと4000円のサトウキビが交付金を上乗せして2万円っていうのは、ちょっと無理があるんじゃないかって思うんですね。
農業自由化問題っていうのは何もTPPから突然始まった問題ではなくて
長いことあるわけですね。その間、いわばその場しのぎという形で交付金頼みの農業政策を続けてきた
国とか政府の責任っていうのはどうなのかなって思いますけどね
岡村:たしかにそうですね。ただサトウキビというのは外国産のものとまぜたりして砂糖という
均一な商品を作るために、外国産の作物と差別化をしにくいという事情があるんですよね。
もちろん徳之島でも交付金が出されていなくて、かつ比較的ブランド化しやすい黒糖の新商品を開発するなど
努力はしています。それでも現段階で交付金がなくなるとなると、島の経済の打撃というのははかりしれないものがあると思います。
その中、農家の方たちというのはTPPが秘密交渉でその中身がまったく見えてこないというのを
すごく不安に思っていましたね。
金平:交渉内容が秘密でね、それこそ「特定秘密」じゃないですけども
結果だけが後から降ってくるみたいなね。直接の利害当事者である農民の立場からみると、不安で仕方がないと思うんですけども。もともとTPPの参加に関しては、国民のなかで大きく意見が分かれてましたですよ。疑問を呈する声があったわけで、それをこのような形で飲ませておいて、交渉にのぞんでやっぱりだめでしたってことになると一体誰が責任をとるんだって思いは残りますけど。まあ、きちんと見守っていくべきテーマだと思いますね。

特集2リード「新たな親子の形 赤ちゃん縁組で結ばれる“絆”」
日下部:次です。生まれたばかりの子どもを養子に迎える「赤ちゃん縁組」という制度があるのをみなさん
ご存知でしょうか?この制度によって新しい家族の形をはぐくんでいる家族に
JNNの取材チームが密着取材しました。そこから何が見えてくるのでしょうか?

特集2受け「赤ちゃん縁組 新たな家族の姿」
岡村:取材に当たったCBC中部日本放送の川村記者です。お願いします。
驚いたのは本当に生まれたばかりの赤ちゃんを引き取るんですね。

川村:そうなんです
この「赤ちゃん縁組」は本当に生まれた産院から直接
育ての親が子どもを迎えるというのが一番の特徴です。
まだ目もよく見えていない頃から、その声や匂い、肌の感触などで
育てる親との愛着関係を最初の一歩を築くことができます。
出産前から産む女性と育てる夫婦が顔を合わせているケースもあります。

日下部:「報道特集」では先日ですね、精子提供によって生まれた子どもが実の父親を知らされないで
父を探し続けるという企画を放送したんですけども、そこで焦点になったのが、
子どもが自分の出自を知る権利ですね。その点、この愛知方式の場合どうなってるんですか?
川村:そうですね。この制度は、あくまでも子どもの福祉が目的で行われています。
このため、もの心がつく頃、早い段階で真実を告知することで子どもの混乱を避けてですね、
より強い親子関係がもてるとの考えがあります。
告知に備えて、VTRにもありましたけれど、産んだ女性から手紙や母子手帳、
それから妊娠中の超音波の写真を託される場合もあります。
私は今回の取材を通して、家族というのは血縁関係がたとえなかったとしても
一緒にすごす時間や思いというのを共有して築き上げられていくものだと
あらためて感じました。
日本では今でも施設でたくさんの子どもが暮らしている現実を考ますと
ひとりでも多くの子どもに家庭という場が提供されることを願います。
金平:僕はね、今年ヒットした映画で是枝裕和監督の『そして父になる』という映画のことを
思い出しながら見ていたんですけど。家族のあり方を決めるのは確かに川村さんが言ったように
血縁ってことはもちろんあるんでしょうけど、DNAとかね、血縁関係以外の、
こうともに時間をすごすことの重みですか、その事実の重みっていうのがあると思うんです。
そういう意味では、この愛知方式の特別養子縁組のシステムですよね。これがもっと周知されて根付いていくと、「家の跡継ぎを絶やすな」とか「家族っていうのは国家の単位だ」みたいな、
とても保守的な家族観というのがあるでしょ?そういうのが徐々に変わっていくような気がするんですね。
VTRに出てきた森崎さん一家の幸せを祈らずにはいられないような気持ちになりました。
どうもご苦労さまでした。
川村:ありがとうございました。

エンディング
岡村)さて、特定秘密保護法案に関する世論の動きというのが活発になってきていまして、先日の反対集会には、主催者発表で1万人が参加したということですね。
日下部)それに対して、国会の論戦をみていると、非常に近視眼的と言うのかな、この法案というのは、過去・現在・未来に対する検証と洞察というのが非常に必要だと思うんでね、「手遅れ」とか「遅すぎる」という問題じゃないと思うんですよね。
金平)なんか修正を重ねるたびに原案よりもどんどん後退していくというのは、何か僕は「茶番」というか、言葉がきついですけれどもね。世論と国会のなかが、これほどかけ離れた状態というのは僕は珍しいと思いますね。来週の特集でもお伝えします。僕は廃案にすべきだと思います。
「報道特集」ではまた来週。



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  • misaoさん
  • 2013/12/04 01:38
家族・・・
血縁家族の崩壊も珍しくない社会、むしろ、増加傾向かも知れません。
家族といえども、お互い相手の「個」としての人権と尊厳と、子供を育てるなら、この子は、神様からの預かり者、親の所有物ではない、という気持ちが大切なのだと私は思います。
深い愛情と想像力で、子供の未来を明るく照らせる家族・社会であって欲しいと願うばかりです。