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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#205 沖縄で起きていることを報じない「不正義」について

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沖縄で起きていることが、全国で伝えられない「不正義」については、TBSメディア総合研究所発行の『調査情報』誌2015年1-2月号(No 522)で長い文章で書いておりますので、繰り返しません。これが民主主義の国なのか。岩手県陸前高田市の佐藤直志さんの特集、背中をしっかり伸ばして、前をみて歩く勇気をいただきました。東京あたりではそういう人々はみつけるのが難しい。特に永田町近辺では皆無に近い。2月28日放送のスタジオ部分を再録しておきます。
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「報道特集」 2月28日OA スタジオ部分

<あいさつ>
金平:今晩は。「報道特集」です。
なぜ13歳の少年の命を守れなかったのでしょうか。
なぜ助けを求める声は見逃されたのでしょうか。
川崎の中学1年生殺害事件で、きのう10代の3人が逮捕されました。
さっそく捜査本部のおかれている川崎警察署から
捜査の状況について伝えてもらいます。中村さん!

<CM2前 特集1のふり>
金平:この後は特集です。沖縄で起きたアメリカ軍による日本人の拘束。
小林;なんのために拘束したのか。その瞬間から沖縄の今を探ります。

<特集1 リード>
金平:特集です。沖縄県の普天間基地移設にともない、
名護市辺野古に新基地を作る動きが、
政府の言い方を借りますと、
「粛々と」進められていますが、実際に現場で起きていることは
その「粛々と」という表現とは全く異なっているようです。
沖縄で今起きていることを現地で取材しました。

<特集1 受け>
日下部:辺野古周辺では陸だけでなく海上の方でも海上保安庁が厳しい警備をしいていて、抗議活動の排除に乗り出しているわけですけど、こうした状況を地元の沖縄の新聞が「過剰警備だ」と報じたわけです。
これに対して海上保安庁がどう対応したかというと、在京のマスメディアだけに対して「沖縄紙の報道は誤報である」と説明しているんです。
もし誤報だとすれば当然、これを伝えた新聞社に言うべきであって、どうして沖縄とそうじゃない地域を分けるような対応をするのか非常に違和感を覚えますね。
小林:そして辺野古移設反対派の翁長知事が誕生したりと、
民意は示されていると思うんですけど、
この民意は政府に伝わらないどころか、
むしろ強硬な姿勢になっているようにも感じるのですがいかがでしょう。
金平:聞く耳を持たないというか、政府の対応がね。
キャンプシュワブの前の黄色い線って言うのは、これまでは我々報道陣も含めて関係者も、割りと自由に内側に入ったり、割とやってたんですね。
沖縄県警は混乱をきたさないように柔軟な対応をとってたんですけど、今回の出来事で決定的に何かが変わってしまったという印象を強く持ちました。
それよりも、黄色い線の内側か外側か以前に、歴史を振り返ってみると、もともと沖縄のアメリカ軍基地の基地というのは、アメリカ軍が「銃剣とブルドーザー」という形で強制的に奪った土地なんです。
猛烈な抵抗運動が起きて賃料を払って借り受けるという形になっている。
そのことが全くどこかで忘れ去られているのではないかという根本的な疑問を持ちます。
アメリカ軍当局は今回のことをきちんと説明をする機会をもつべきだと思いますが、
自戒を込めて言うのですが、沖縄で起きていることを東京のメディアはなかなかきちんと伝えてこなかったということが根本にあるように私は思います。

<特集2 リード>
日下部:続いての特集は震災4年を迎える岩手県陸前高田市から
80歳の長老、佐藤直志さんの挑戦です。
津波をかぶった田んぼを仲間とよみがえらせた直志さん。
目指したのは土地の人に愛された地酒をもう一度作ることでした。
カメラが見つめた4年間。直志さんの生きざまから見えるものとは。

<特集2 受け>
小林)こちらは、今日行われた陸前高田の特別純米酒「たかた」の搾り体験会
の様子です。地域の皆さん、20人ほどの方が参加しまして、今年も去年
と同じ5000本が、春と秋の二回にわけて出荷されるということです。
スタジオには取材にあたりました、TBS社会部櫻井記者です。
直志さん本当にパワフルな方ですけど、なかでもとりわけ「多賀多」の復活には強い思い入れがありそうですが、その思いの原点は何でしょうね。

桜井)直志さんは、林業だけなく農業でも、国の減反政策や米価といったものに振り回されてきたんです。そうしたものに身を任せているだけでは、地域が豊かになれないということで、10年前に「多賀多」というお酒を造ったわけです。この「多賀多」というお酒は地域にとって自立のシンボルだったわけで、だからこそ、直志さん達はこの復活にこだわったのだと思います。

日下部)まもなく震災から4年ということですけど、
直志さんの集落の人たちの現状はどういうものなのですか。

桜井)まだ多くの人が各地の仮設住宅にバラバラに暮らしているという状態で、現地で取材をしていますと「先が見えない」という声もよくききます。仮説暮らしの長期化は、自立する力を奪いかねない深刻な問題だと思いますけど、そんな中にあって土地に根ざした豊かな暮らしにこだわる直志さんの姿勢というのは何か大きなヒントを与えてくれているのかもしれないと、取材を通じて感じました。

金平)長老としての直志さんの人間性というのは相変わらずチャーミングだなと感じましたけど、地域の人々のプライドというか、矜持みたいなのはありますよね。直志さんのお仲間の菅野剛さんっていう方が言っていたのですが、あの地区は「経済的には貧しくても心と食べ物は贅沢だった」と。そういう想いって言うのは地域の自立の力、そういうものを支えているんだと思いました。ご苦労さまでした。

<エンディング>
金平;川崎市のニュースでやりましたけど、中一殺害事件、
とても重い事件ですけど、小林さん現場に取材に行ってたと。

小林;多くの方が花を手向けられていましたが、感じたのはやはり、
子供同士の狭いコミュニティーで、何か異変があっても当事者も回りも すごく言いにくいと思うんです。これは勇気出して声を上げてほしいですし、大人としても「大丈夫?」と声をかける勇気をもたなければいけないなと強く感じました。

日下部;あまりにも凄惨な事件だから、どこかよその世界のことだと思いたい部分もあるんですけど、はたしてそうなのか。弱いものいじめとか、見て見ぬふりっていうのは決して違う世界のことじゃないし、大人もやっぱり我が事として考えないと子供達のSOSって聞こえないんじゃないかな。

金平;SOSが見逃されてしまうというか、そういう社会の有り様って何か僕らの今の世界の反映であるような気がしますけどね。
「報道特集」、ではまた来週。




この記事へのコメント
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  • おぢさんさん
  • 2015/03/07 18:43
今、福島原発廃炉の特集観ています。廃炉に向けて若い技術者が人生を懸けてモチベーションを持ち続ける為にどうすれば良いのかと悩んでいましたが、これは医療と同じで癌等の特効薬を開発する為の国のプロジェクトとして特別枠で率先するべきだと思います。
世の中の様々な問題に対する番組の姿勢が好きでよく視聴しています。
これからも良い番組作りをお願い致します。