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金平茂紀
1977年 TBS入社。
社会部、「ニュースコープ」副編集長、モスクワ支局長、ワシントン支局長、ニュース23編集長を務め、2005年から報道局長、2008年からはアメリカ総局長として、アメリカを中心に取材を続ける。
2004年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。

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#215 バック・イン・ザ・USSR

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3qGPEVL1o_.jpg3年ぶりにモスクワに足を運びました。戦勝70周年記念の大々的な記念式典の取材のためです。当初は北朝鮮の金正恩氏も参加するのではなどと言われていましたが、それはなくなりました。モスクワの空気は3年前と比べても随分変わっていました。やはり、ウクライナ危機の影響は大きいです。20年以上も前にモスクワで4年近く暮らしていましたが、今回取材した場所で感じたのは、ソ連時代に似てきたな、という思いですね。後半の特集は、介護の現場のひとつの試み「集い場」のルポでしたが、帰国してからみて、実にいろんなことを考えさせられました。長期取材を担当したのは河北ディレクターでしたが、今年の元旦のシーンもありました。それで考えてみたのですが、僕ら「報道特集」の上から順番に年寄りの3人が、元旦に取材していたんですね。巡田記者は、刑務所で無期懲役囚の取材をしていて、僕はレバノン・シリア国境でイスラム国関係の難民取材をしていた。そして河北ディレクターは、介護の現場の取材をしていた。何だかずっとそうやってきたような気もします。9日放送のスタジオ部分を再録しておきます。
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【金平あいさつ】
金平)こんばんは。「報道特集」です。ロシアの首都モスクワに来ております。第二次大戦での勝利から70周年を祝う大々的な行事が今、行われております。戦争にどう向き合うかは、今年私たちに突きつけられている大きなテーマですが、のちほどの特集でたっぷりとお伝えします。

【特集ふり】
小林)このあとは戦勝70年を迎えたロシアからの特集です。
強まるメディアへの圧力。一体何が起きているのでしょうか。

【特集① リード】
金平)再びモスクワです。ロシアは今、ウクライナ危機やクリミア編入などで、国際的には欧米諸国や日本との距離がどんどんと広がっています。それと反比例するかのように、国内的には「偉大なるロシア」「強いロシア」を掲げる指導者プーチン大統領の支持基盤がますます強くなっています。「プーチンのロシア」で今何が起きているのか。ここモスクワで取材しました。

【特集① 受け】
小林)ロシアで取材しております金平さんに聞きます。実際に国家行事を目にしてどのように感じましたか?
金平)戦勝70周年記念というのが国家行事で、ロシアが国を挙げて、愛国的なムード一色に染まっているという感じがあります。今日も朝からクレムリン宮殿に面した赤の広場を中心に「偉大なるロシア」というムードが否が応でも盛り上げられている、そんな感じがしました。海外からの招待されている賓客の中では、中国の習近平国家主席が破格の扱いで、今日の式典でもプーチン大統領のすぐ横に座っていました。戦後70年の記念式典というのはこれからアジアや欧米諸国でも夏にかけて続々と行われるわけですけれど、今回の式典は、夏に予定されている中国での同様の式典のあり方、あるいは規模、内容にも少なからぬ影響を与えるものではないかと思われます。
ただ、今現在のこの一色に染まった空気をみていると、私は今から20数年前に、ソ連が崩壊した時代のモスクワに特派員として4年間住んでいたんですけれども、かつてのソ連に戻ったみたいだなという印象を正直受けました。もちろん物質的には豊かになりまして、社会主義イデオロギーは消滅したんですけれども、それに代わって「偉大なるロシア」という愛国主義、極端な国家主義が人々の心の中に浸透してしまっている気がします。そういう意味ではプーチン大統領の基盤は非常に強いものがあります。ただ、先週のこの時間にお伝えした歴史家のジョン・ダワー氏も指摘しておりましたが、戦争は勝った側にとっても、負けた側にとっても、繰り返してはならないものだ、悲惨な面から目をそらしてはならない、というような視点が全くありません。こういう戦争の記念の仕方はどうなんだ、ということを私自身は感じながら取材を進めてきました。

日下部)かつてのソ連に戻ったかのような印象を持ったといいましたが、
それはメディアにも当てはまるんですか?
金平)そのとおり当てはまると思います。式典を報じるロシアのメディアの姿勢といいますか、政権に協力的というよりも、むしろべったり寄り添って一体化しているような印象も受けます。今回、私たちが取材した「ドーシチ」や、「ノーバヤガゼータ」というメディアは非常に例外的なメディアで、あとはインターネット系の情報がゲリラ的に報じているというのが現状です。あまりにも強大な政治権力とメディアとの関係の行き着いた果てをみているようで、こちらもソ連時代に逆戻りしたような印象を受けます。けれどもこういう状態は私たちの足元をみると、日本も決してこれも他人事とはいえないわけで、当局がメディアに文書を押し付けてくるようなあたり、とても他人事とは言えないでと思います。先日来日したポール・マッカートニーがいたビートルズの名曲で「バックインザUSSR」というのがありますけれども、ロシアのメディア状況はまさに「バックインザUSSR」という感想を持ちました。ロシアのメディア状況から私達が学ぶべき点はたくさんあると思います。以上モスクワからお伝えしました。

【特集②リード】
日下部)高齢化が進む日本では介護の負担が重くのしかかり、身も心も疲れ果ててしまう家族が少なくありません。こうした介護する人たちの心のよりどころになっている場所が兵庫県にあります。介護を支える“つどいの場”そこにはいま失いかけている豊かな人間模様がありました。

【特集②受け】
小林)私の家族にも認知症の者がいるのですが、お酒を飲んだり旅行したりというのは、もうできないものだと諦めてしまっていました。取材した河北ディレクターの話ではこの「つどい場」にきている人たちというのは、「この場所に出会って、むしろ介護する前よりも人生が豊かになった」と話しているそうなんです。連日見学者も多く、利用者も年2000人におよぶという話しでした。

日下部)家族や仲間に看取られて住み慣れた家で最期を迎えるというのは私が子供のころは当たり前のことでした。その後、日本社会の変化、都市化や核家族化の中で人の死が非常にプライベートなものとなっていくわけです。そこには家や地域のしがらみから逃れたいという気持ちももちろんあった。日本は10年後には認知症の人が5人に1人に達すると推測されているんですけど、国は国家戦略として住み慣れた地域で暮らし続けることができる地域づくりの促進を掲げているんですけども、ただ制度を作ってシステムを整えるだけでは駄目で、ご覧いただいたように一重要なのは地域の人たちの心のつながり。一番難しいんですけど、大切なことなんですよね。


【エンディング:箱根】
日下部)私は箱根の麓で育ったので非常に気になるんですけど、小林さんは箱根を取材したと。
小林)取材した限り、揺れ等も特には感じず、個人的にはこの新緑の時期ゆっくり観光に行きたいと思った限りですけど。
日下部)箱根を見て育ったようなもので、大涌谷というと昔スケートリンクがあってよく行ったんです。今は無いですけど。箱根の美しさというのは火山活動なくしては語れないですから、一日でも早くおさまるよう祈っています。



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  • Chiharu Saitoさん
  • 2015/05/16 17:03
ついにここまできてしまった…まだ諦めないで行動をし続けなくてはと思う一人として報道特集の渾身の取材報道は拠り所です。くれぐれも健康管理をなさって頑張ってください。