プロフィール

プロフィール画像
日下部正樹
1985年 TBS入社。
政治部、香港支局長、北京支局長、外信部デスクなどを務め、2010年9月までは、ソウル支局長。

カレンダー

<<   2020年9月   >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

最近の記事

カテゴリ

月別アーカイブ

<<   2020年   >>

このブログで使用したタグ

ブックマーク


Obiの話

今回はObi=オビについて。

Obiと言っても着物や浴衣の帯のことではありません。
書籍やレコード、CDに巻いてある宣伝用の紙のことです。
CpUHoRzlk_.jpg
なぜObiとわざわざアルファベットで書くかというと
Obiは海外でも通用する言葉だからです。
と言ってもごく一部の人たちの間だけですが・・・

最も身近なObiというと
やはり書籍に巻いてあるやつですよね。
日本だけではなく、
最近は韓国の本にもよく巻かれています。
s6zbab_CDB.jpg
写真は韓国でもベストセラーとなった
村上春樹さんの「1Q84」BOOK3の韓国版です。
装丁は日本のものより僕は好きです。
Obiには「最短期間ミリオンセラー突破!」
「19週連続総合ベストセラー1位!」と
宣伝文句が書かれています。
ちなみに韓国でもObiの事を
ティ(띠=帯)と呼ぶそうです。

このObi、
買う際には参考にしたりしますが、
買った後は読む時に邪魔になるし、
ゴミ箱にポイという人が
多いのではないでしょうか?
しかし古書収集家からすれば
これは宝をドブに捨てるようなものです。
古書の価値を決める重要な要素は
希少性とあわせて、
その書籍が最初に世に出た時の姿を
いかにとどめているかにあります。
Obiの無い国の書籍であれば
初版で状態がいいことが重要ですが、
日本の場合はさらに
Obiがついているかどうかが
価値=値段を大きく左右します。
ところがこのObiがなかなかクセモノです。
もともとObiをつける目的は宣伝ですから、
作品が文学賞を受賞したり
映画化されるとすぐに差し替えられます。
os0nk949Vm.jpg
例えば池田満寿夫さんの「エーゲ海に捧ぐ」は、
発売当初は「野性時代新人文学賞」の
Obiが巻かれていましたが、
その後、芥川賞を受賞しObiが差し替えられました。
オリジナリティにこだわるコレクターとしては
「野性時代」Obiの方に希少価値を見出すわけです。

レコードの場合
Obiの役割は書籍以上に重要な気がします。
というのは特に洋楽レコードの場合
60年代以降ジャケットにも
オリジナリティが求められ、
日本語のタイトルや解説文が
ジャケットから消えた結果、
Obiの出来が売上を左右したのです。

日本独自の宣伝道具であるObiは
その独自性ゆえ
海外のレコードコレクターの
注目も集めています。
書籍と違ってレコードは
日本語を解さなくても
それなり楽しめるわけですから、
コレクターが海外にまで
広がっても不思議なことではありません。
4bnlW2SAT7.jpg
oGMm5GMYgB.jpg
漢字や片仮名が刷り込まれたObiは
海外のコレクターから見れば
神秘的で収集欲をかき立てるらしく、
新宿あたりではObi付きレコードを
買い漁る外国人の姿をよく見ますし、
ビートルズの日本版Obi付きレコードは
驚くほどの高値で売買されています。

私自身、海外のアーティストについては
輸入盤レコードで聞いているので、
Obiを気にすることは無いのですが、
日本のアーティストについては
オリジナルレコードとObiにこだわりたくなります。
MqdZ_ZZ70C.jpg
たとえば矢沢永吉さんのソロファーストアルバム。
Obiとか付録のポスターとか気にしなければ、
中古盤が千円以下で簡単に手に入ります。
ところがオリジナルのObi付きレコードとなると
これがなかなかお目にかかれません。
osihqT1oLt.jpg
発売当初のObiには
「元キャロルのリーダー」という一文があり、
これに矢沢さんがクレームをつけ
Obiが差し替えられたと言われています。
過去の栄光にはこだわらず、
新たなスタートをきりたいという
矢沢さんらしいエピソードです。
Lj9RzDpY7i.jpg
YMOのファーストアルバムも
今考えると変わったObiが巻かれています。
細野晴臣とイエローマジックオーケストラが
併記されていて一見、細野さんが
イエローマジックオーケストラという
タイトルのアルバムを出したようにも見えます。
当時は高橋さんや坂本さんに比べ
細野さんの知名度は抜群でしたから
レコード会社としては
細野さんの名前でレコードを売ろうとしたのでしょう。

海外で発売されたレコードにも
Obiが巻かれたものがあることはあります。
ZToU1ERRrc.jpg
Led ZeppelinのHouses of the Holy。
Led Zeppelinは前作より
アルバムジャケットから
一切の文字を排除しました。
タイトルもグループ名はもちろん
レコード番号すら
ジャケットに見当たらないのです。
先入観を排して音だけを聞いてくれ
というグループからの
熱いメッセージなのでしょうか、
しかしレコード会社は困ったでしょうね。
「商業的な自殺行為」と
レコード会社の重役は嘆いたそうですが、
続く本作には窮余の策としてバンド名と
タイトルが記されたObiが巻かれました。
まあレコード会社の嘆きをよそに
アルバムは売れに売れたのですが・・・
GghIy1UnOu.jpg
最近は紙ジャケに発売当時の
ObiをつけたCDも数多く発売されています。
収集欲をくすぐるものがあるのでしょうね。
私もかつては
折角のジャケットデザインが見えないと
レコードを買っては
Obiを破り捨てていた方ですが、
いま手にとって見てみると時代の空気を伝えるようで
なかなか興味深いものがあります。




この記事へのコメント
印は入力必須項目です。
名前
コメント
画像認証 :

表示されている数字を半角で入力してください。
 
  • brian_lovellさん
  • 2011/11/17 01:01
こんばんは。報道特集を毎週楽しみに拝見しております。
非常に珍しい(笑)女性漁盤家です。オビのあるなしで売却の際査定が変わりますし、海外とのやり取りでwith/without OBIの情報は当たり前。
オビも作品の一部と考えて全て大切にジャケットや盤と一緒に保管するのが当たり前の私にとって、捨ててしまう人が多い→中古盤屋でオビなしが多いのは非常に残念でなりません。