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日下部正樹
1985年 TBS入社。
政治部、香港支局長、北京支局長、外信部デスクなどを務め、2010年9月までは、ソウル支局長。

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東京晴空塔

最近、駅や公共施設の案内板に
英語に加え中国語やハングルの表記が増えました。
日本を訪れる外国人の大半は
韓国・中国・台湾などからですから
当然といえば当然の流れです。
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さて、私が見た限り東京都内の
案内板に使われている漢字表記は
中国大陸で使用されている
簡体字表記がほとんどです。

漢字と一口に言っても
私たちの周りには
大別すると3つ表記があります。
複雑な順に上げると・・・
①繁体字
②当用・常用漢字
③簡体字

例外は色々ありますが簡単に言うと、
①の繁体字は日本で言うところの旧字体で
日本でも戦前はもちろん、
戦後も暫くの間使われていました。
現在は香港・マカオ・台湾で
使用されている字体ですね。
(韓国も漢字を使う場合は繁体字です。)
もともと象形文字から発達した漢字は
時代や地域によって様々な字体が存在しましたが、
繁体字が基本とするのは約300年前に
清朝の康熙帝が編纂を命じた「康熙字典」です。
Rn7FLU5Kgt.jpg
考えてみると清朝というのは満州族が
漢族の明朝を倒して成立した征服王朝ですよね。
中華文化の結晶といえる漢字の基準が
異民族のリーダーによって
まとめられたというのが面白いというか
中華文化の懐の深さなのでしょうか。

②の当用・常用漢字は
現在日本で使われている漢字。
繰り返しますが、
漢字はもともと象形文字ですから
字体が変わると雰囲気まで変わります。
例えば戦前、散々叫ばれた
「国体維持」という言葉。
旧字体の「國體維持」だと
時代の雰囲気を伝えているというか
何ともいかめしいのですが、
これが常用漢字の「国体維持」だと
なんかスポーツ大会を守るみたいで
ぐっと柔らかくなりますね。

③は簡体字は
現在、中国大陸で使用されている字体ですね。
共産党が識字率を上げるために
繁体字を簡略化した文字ですね。
簡体字推進者の毛沢東は
さらに簡略化を進めたかったようですが、
ほとんど記号のようになってしまうため
断念したと聞いたことがあります。

極端すぎる簡体字の例をあげます。
北京の街角でもよく目にする「丰田」の文字。
dngOFOgfqw.jpg
日本だと「豊田」。繁体字だと「豐田」。
そう丰田とはトヨタのことです。
豊かさを表す文字が「丰」とは!
身をすっかり食べられてしまった魚の骨みたいで
私にはこの文字から貧しさしか感じられません。
簡略化とはいえこれは行き過ぎですよね。
確かに繁体字は覚えるのも大変なら
書くのもそれ以上に大変だと思いますが、
中国大陸でもワープロが
相当普及しているのですから、
漢字本来の良さを味合うためにも
多少、繁体字に戻してもいいのではないかと
私など思うのですが・・・

都内の案内板の話に戻しましょう。
駅名表示もなかなか面白い。
例えば都内のターミナル駅。
新宿・池袋は日本語と変わらず
東京は若干表記が違いますが
それほど難しいものはありません。
ただ若者で賑わうこの駅名は
一瞬迷うかもしれません。
bbjdJ216l_.jpg
渋谷という地名は繁体字でも
「澁谷」と字が違うのですよね。

あとこれはいまや電気街と言うより
オタクの聖地と知られるターミナル駅の名前。
15YdBAOGn2.jpg
前後の字から想像はつきますが秋葉原です。
「叶」と言う字は「葉」の略字なのですね。
千葉県は千叶県です。
ちなみに叶姉妹の「叶」は
葉っぱの意味はありませんが
繁体字を使う香港などで簡体字と混同されて
「葉姉妹」と表記されているとも聞きます。
MmgDck5ZlU.jpg
これは駅名ではありませんが、
偶然見つけた表示。難度はかなり高いです。
答えは聖橋。「聖」は「圣」なのです。
となると「聖蹟桜ヶ丘」は「圣迹樱丘」。
全く違う場所みたいな感じです。

今回、案内表示を注意して見ていて
この漢字訳でいいのかなと思うものもありました。
日本の駅名には外来語が入ったものも多いので
中国語表記も工夫が必要です。
例えば読売ランドは「读卖乐园」
ランドは乐园=楽園なんですね。
そういえばディズニーランドは迪士尼乐园でした。
じゃあ「たまプラーザ」は?
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「多摩广场」=多摩広場ですか。
日本にいる中国の人たちの間では
「今度、多摩広場で食事しよう」
とか言っているのですかね。
でも、いきなり中国の方に
「多摩広場にはどうやって行くのですか?」
と聞かれても困っちゃいますね。

そして今回一番の発見は・・・
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東武線の「とうきょうスカイツリー」駅です。
スカイツリーのオープンにあわせ、
業平橋という駅名を変えたのですが、
この中国語表記が妙なのですね。
cKagWimSXe.jpg
「东京晴空塔」
素直に訳せば「東京天空樹」とか
「東京空中樹」とかだと思うのですが・・・

ネットで調べてみると
徐々に謎が解けてきました。
情報をまとめると
スカイツリーの事業主体である
東武鉄道はもともと中国名を
「東京天空樹」にしようとしていたのですね。
ところがこの名称がすでに中国国内で
登録商標されていたことが判り、
東京晴空塔に差し替えたというのですね。
J49FlvIWk9.jpg
いまや日本だけでなく
世界中の名だたる企業やブランドが
巻き込まれている中国の商標登録問題。
かつては中国人の商魂逞しさに
感心することもありましたが、
最近では「いいかげんにしたら」という感じですね。



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