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日下部正樹
1985年 TBS入社。
政治部、香港支局長、北京支局長、外信部デスクなどを務め、2010年9月までは、ソウル支局長。

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江南クリーク

1年ぶりに上海に行ってきました。
お決まりの外灘(ワイタン)から
黄浦江をはさみ浦東を臨んだところ。
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相変わらず高さを競う建設ラッシュが続いています。
シャドーバンキング問題など
中国の経済危機の可能性が指摘されていますが
どうなのでしょう・・・。
シャドーバンキング(影の金融)の存在が
何か悪の根源のように伝えられていますが、
そもそも共産党が何かと口を出し仕切ろうとする
中国の市場そのものがいびつなわけで
シャドーバンキングはいびつさを補うもの、
または中央の政策に対する
地方の間接的な反抗のような気もします。
これまで繰り返されてきた
「上に政策あれば下に対策あり」ですね。
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さて今回の訪問の目的は70年以上も前の
日中戦争の痕跡を訪ねることでした。
1937年7月7日の北京郊外で起きた
盧溝橋事件に端を発する日中戦争は
8月には上海にも飛び火します。
上海近郊に上陸した日本軍は
中国軍の猛攻とクリークと呼ばれる
河川に行く手を阻まれ苦戦、
戦いまさに泥沼と化して行きます。
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上海市内から高速で1時間も走ると
江南地方特有の風景が目に飛び込んできます。
田園地帯を縦横に流れるクリーク。
のどかなこの地で血なまぐさい戦闘が
繰り返されたとはなかなかイメージできません。
17EbPVbUVj.jpg
現地ではお年寄りの方たちから当時の話を聞きました。
日本人としては耳の痛くなるような内容でした。
いずれ番組の中でお伝えできると思います。
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取材して強く感じたのが
これは日本でもいえることですが
「残された時間は少ない」と言うことです。
実際に戦争を体験した人の話を
聞くチャンスは日本でも中国でも
極めて限られてきています。

話を聞いた90過ぎのお年寄りたちは
幸い記憶もしっかりしていて、
文献からは読み取れない
リアルな戦争体験を語ってくれました。

反日感情からくる誇張や作り話とは思えません。
あるおじいさんなどは
日本軍の残虐行為にとどまらず、
歴史を下り共産党による
大地主の処刑の様子まで語ってくれましたから・・・。
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日本と同じように若者たちは農村地帯から離れ
村にはお年寄りの姿ばかりが目立ちます。
たとえ日本人であったとしても
お年寄りたちは客人である私たちを歓迎してくれました。
そして取材を終えて別れを告げると
みな少し淋しそうな表情を見せました。
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江南の風景の中に身をおいていると
その風景には似つかわしくない
「暴支膺懲(ぼうしようちょう)」
という言葉がなぜか浮かんできました。
「ならず者中国を懲らしめる」と言った意味で
日中戦争が拡大してゆく中で叫ばれたスローガンです。
最近の表現で言えば
かなり「上から目線」なスローガンです。
満州事変の時の「五族協和」という
大義はどこに行ったのか・・・。
中国なんて一発で倒せると言う驕りすら透けて見えます。
O7NKnVa1_M.jpg
実際、中国軍の実力を軽く見たのか
上海近郊に投入された日本の部隊は
「予備役」つまり控え選手が中心だったのですね。
ところが相手はものすごく手強かった。
この中国軍を物心両面で支えていたのが
なんとナチスドイツです!
日中戦争とは列強の中国本土における
利権も絡みあい何とも複雑で不思議な戦いです。
戦場に駆り出された日本兵にとっても
「話が全く違うじゃないか!」
という戦いだったのだろうなと想像できます。
膺懲と言えば
中国も同じような過ちを犯しています。
日中戦争の40年後、
中国は(国民党ではなく共産党政権ですが)
意のままにならないベトナムを
懲らしめてやると侵攻し大火傷を負ったのでした。
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さて上海近郊では
日本軍関連資料の収集家Mさんにもお会いしました。
自宅が杭州湾の日本軍上陸地点に近いこともあって
日本軍の資料に興味を持ったそうです。
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Mさんは中国のメディアなどが
南京事件の際のものだと使用している写真について
「あれは間違いだ。南京のものではない。」
と直ちに否定しました。
誤った報道がなされている事に対し
専門家として残念で仕方がない様子でした。

さらに銀行家であるMさんは
「中国の改革開放は日本の支援がなければ
 こんな早く実現できなかった。」と
繰り返し強調しました。

中国では反日感情がいまだくすぶっています。
Mさんのような社会的な地位にある人が
日本のメディアの取材に対し
率直に自分の考えを披瀝したのには少し驚きました。

ひるがえって今の日本はどうなのだろうか・・・?
メディアに身をおく自分はどうなのだろうか・・・?
上海市内に戻り好物の新疆料理を食べながら
そんなことを考えていると
なんだか落ち着かない気分になってきました。
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  • ハレルヤさん
  • 2013/09/14 23:57
串焼き羊肉、おいしいそうですね。私も好物です。でも上海より北京や西安で食べるのが最高ですね。最近何でもにせものが多いから、先日食べた店では正真正銘の羊肉、「嘘だったら1万元払います」という看板を掲げていた!そこまで書くと本当か、嘘か、分からなくなります。
南京事件の写真も含めて、率直に語ってくれるおじさん、とても感心しました。日本人ももっと歴史をきちんと自分の価値観で判断できるようにならないといけません。初めて日下部さんのブログに拝見しました。これからも寄らせていただきます。