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「知らせるべきではない世界」は誰のものか? ウィキリークスとフェイスブック ― 志村一隆

政治と生活に距離がウィキリークスを育てる

私が「『知らせるべきではない世界』はそもそも存在してはならないということだろう」と考えていると、前川さんに指摘された。(12月24日 続・ウィキリークス問題私見)
問題は、その『世界』は誰のものか?だ。
前川さんが紹介していた朝日新聞(12月23日)の「論壇」・「情報流出 公開の境界だれが決める」で、東浩紀さんは、「知らせるべきではない世界」の範囲は「だれがどうやって決めるのか。国家か市民か」と言っている。
理想の答えは市民だ!ということだろう。
前川さんは「現在は生活と政治に距離がある」という。選良が無私に政治をするという民主主義の前提と現実には距離がある、と僕も思う。
ならば、「知らせるべきではない世界」の所有者は、市民と密接な国家ではなく、権力主体としての国家だ。生活と政治に距離があるとして、権力が自らの存在維持のための世界=情報を持っていてもいいだろう。
だが、僕は権力側の人間ではないから、権力監視のためにその情報を知りたい。本来、メディアが国民目線に立って情報提供の役割を果たすべきだが、現在はインターネットやウィキリークスがそれをしてくれている。

華氏451の森を拡大するフェイスブック

近代国家は、その存立に土地と人が必要であり、権力を行使できる境界が必要だ。
だから、須田さんが指摘した「人々のつながりを理想的に無境界化し、完璧にFLATにしようとするインターネット(12月24日 3世紀後に完成する革命)」を領土化することができない。
ウィキリークスを統制するには、国家はサーバーやリーダー自身を境界内で捕捉するしかない。
情報も同じだ。権力は境界内の情報技術を統制できるが、情報そのものは統制できない。これは、前川さんが12月28日に書いた「華氏451」のメッセージと同じだ。
華氏451に出てくる森と1冊ずつ覚えている人、どちらも限定的だったが、いまでは、フェイスブックやユーチューブといった国境を超えるコミュニティが成立し、そのなかで人々が活発にコミュニケーションを取っている。華氏451では、ある本を記憶した人が死んだら、その情報は死ぬが、インターネットでは、世界の誰かがそれを引き継ぐ。
その原動力は、インターネット上で多くの人間が共通の言語でコミュニケーションを取っているからである。僕宛てにフェイスブックやユーチューブを通じてブラジルやポーランドから届くメールはすべて英語で書かれている。僕のサイトも英語で作っている。
同じ言葉で見知らぬ人とコミュニケーションを取ると、国籍、国民性の違いなど意識から消えてしまう。昔、海外を2ヶ月放浪したことがあるが、自然と人間みな同じに見えてくる。インターネットでは、体を動かさずとも、同じ気持ちになる。
同じ言語でコミュニケーションを取る人が増えれば、情報の流通も加速度的に早くなり、権力がそれを捕捉するのは困難になる。
さらに、国家との契約にメリットを感じない国民が、境界を跨ぐのも容易になる。そもそも、なぜ(普通は)我々は一つの国家としか契約できず、国籍を一つしか持てないのか。

ネットとリアル、ふたつを融合させた国家、権力構造が生まれる


須田さんは、「インターネットやソーシャルメディアを舞台にした新たな階級闘争」が起きているという。
僕は、人間の本性は、劣化も進化もしておらず、普通の人はフツーに楽しく暮らし、昔も今も何処にでも、権力は存在すると思う。
権力の統治方法が、その時代や場所によって、メンバー間の自治になったり、第3者の監視システムを含めたりするだけだ。
近い将来、ウィキリーリークスや、フェイスブック、ユーチューブを通じて、60億人が全員英語でコミュニケーション取っているかもしれない。
その世界では、権力が必要とする境界は意味をなさない。人々は、複数のコミュニティに属し、そのコミュニティはメンバー間の自治で運営されるだろう。大型国家は姿を消し、小さなコミュニティが存在する社会になるのではないか。


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               追いかけても捕まらない情報





志村一隆(シムラカズタカ)プロフィール
1991年早稲田大学卒業、第1期生としてWOWOWに入社。2001年モバイルコミュニティを広告ビジネスで運営するケータイWOWOWを設立、代表取締役就任、業界の先駆けとなる。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号
『明日のテレビ-チャンネルが消える日-(朝日新書)』、『ネットテレビの衝撃(東洋経済新報社)』が絶賛発売中。ツイッターは zutaka



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