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あなたはいったい誰ですか? ― 志村一隆

「リアルタイム」でなくても「リアル」に感じる

あやブロでたびたび話題(2/9、2/10ポスト)になっている「お前はただの現在にすぎない」の萩元晴彦さん制作、「あなたは・・・」をTBSオンデマンドで見た。街頭で「あなたいったい誰ですか?」と質問し、普通の人たちが答える映像が続く。
番組最後のパートで、「あなたにとって幸福とはなんですか?」という問いかけが何人にも続けられ、多くの人が「平凡な生活」と答えている。「えっ?」と思ってしまった。ガツガツした人たちを想像していたから。ゾンバルト、シュンペンターが言うように、「欲が資本主義成長の原動力」ならば、なぜ彼らが高度成長期を体現できたのだろうか。藻谷浩介氏の「デフレの正体」のように、労働力人口の実数が増え続けただけだからなのだろうか。
番組が作られた1965年、作り手は平凡な生活に対し否定的なのか、何を言おうとしているのか?いちばん印象に残ったのはおじさんだ。戦争に巻き込まれ、居所を転々としながらも、生きてきた。
リアルタイムで経験していない60年代からテレビ番組が「リアル」性を持って私をその時代に引きずり込もうとする。そんな経験だった。

震災後の生放送とソーシャルメディア

震災後、チェルノブイリ原発に取材カメラを入れたTBSの報道番組や、フジテレビのFNS音楽特別番組「上を向いて歩こう(3月20日)」、SMAP×SMAPの生放送、テレビ局のリアルタイム性をリアルに体験した。ほかにも、震災の週末が明けた月曜朝7時からのInterFM「BARAKAN MORNING」も、その選曲があの時の気分にしっくりきた。
面白いのは、そうした番組へのツイッターは、必ずしも肯定的なものばかりではなかった点だ。フジテレビの「上を向いて歩こう」を見ながらツイッターのTLも眺めていたのだが、多かったのはこういうツイートだ。「素直に喜べない私・・・」、「テレビ局も節電しろー」。喜納昌吉さんや木村充揮さんの歌に感動しながら、TBSの金八先生と掛け持ちで見ていたのだが、TLを見ているうちに気分が悪くなり、追っかけるのをやめてしまった。
4月になって震災、原発をどう捉えるかという番組が増えた。NHKの新番組「アスリートの魂」の第1回(4月4日)は、番組取材中に地震が発生、その後甲子園に出場する東北高校野球部を追ったドキュメンタリーだ。エースで4番、キャプテンが、「『気持ちを切り替える』という言葉は間違っている」と言う姿がリアルだった。

テレビは結局テレビらしさを磨くしかない

ソーシャルメディアとマスメディアの問題は、インターネットで茶の間のクチコミが永遠に可視化される現状に、メディアはそれを内在化するのか、距離を保つのか?どう向き合うのか?という点にある。マスメディアが発信する情報がツイッターでも獲得できるレベルだった現実をもってしてメディアがダメになることにはならない。VOGUEには、なぜ高級ブランドが広告を出し続けるのか?結局、メディアの主観を受け手に評価してもらうしか、その存在意義は成立しない。自分で管理できない時間=リアルタイム性に自らの本質を置くことは、時に逃げ口実になる。
テレビ番組がツイッターで盛り上がるのは、テレビ局にとって嬉しいのか?茶の間の会話をテレビ局が取り込むことは必要なのか。もし、必要だとして、それをリアルに取り込んでも、「あなた・・・」で見せられる街頭映像とは意味が違ってくる。
60年間テレビが背負い続けたリアルタイム性は、茶の間の話題がネットで拡張するとともにその意味合いも変化する。もし、ソーシャルメディアがリアルタイム性に優れているなら、テレビは時間=タイムを彼らに譲り、リアル性だけを追求してはどうだろう。
「あなたはいったい誰ですか?」、「あなたにとって幸福とはなんですか?」、いまテレビに問いかけたら、どのような答えが返ってくるだろうか。



志村一隆(シムラカズタカ)プロフィール
1991年早稲田大学卒業、第1期生としてWOWOWに入社。2001年モバイルコミュニティを広告ビジネスで運営するケータイWOWOWを設立、代表取締役就任、業界の先駆けとなる。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学で MBA、2005年高知工科大学で博士号
『明日のテレビ-チャンネルが消える日-(朝日新書)』、『ネットテレビの衝撃(東洋経済新報社)』が絶賛発売中。ツイッターは zutaka



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