「悪魔のようなあいつ」と「モテキ」 ― 志村一隆

悪魔のようなあいつ

前川センパイが演出で参加している「悪魔のようなあいつ」を見た。
久世光彦プロデュース、沢田研二(ジュリー)主演。1968年12月(昭和43年)に起きた3億円事件に絡めた物語で、その事件の時効が迫った1975年(昭和50年)に放送された。そして、それっきり、1度も再放送されていない。DVDは2001年になって販売されている。
とにかくジュリーが美しい。ホモセクシャルを匂わしなが…



余人を以て代え難いシンガポール ― 志村一隆

z54cEX0LXq.jpg          シンガポールの目抜き通り「オーチャード・ロード」

Singapore Keeps Growing

11月のシンガポールは気温30度。午後は毎日ゲリラ豪雨が降る。
国土の広さは、先月あやぶろメンバーと訪れた仙台市くらいだ。東京都の3分の1。しかし、海岸線はどんどん沖に伸びていて、創業時海岸沿いに建てられたラッフルズホテルは、もはや海岸から1kmも離れている。地下街は30分歩い…


Eight Months After – そうだ、東北、行こう ― 志村一隆

700キロの旅でも津波の被害は全てを見られない

前川センパイのポストにもあったように、東日本大震災の被災地を訪れた。名取から田老まで直線距離で200キロ、仙台で借りたレンタカーの走行距離は700キロ。東京から700 キロ西に進むと広島の手前まで行ける。
三陸地方は、海に突き出した山と山の間の小さな平野部に街が点在している。その街を貫く国道45号線を北上すると、山を超え街に入るたびに、無人の荒野が…


「魔法少女まどか☆マギカ」の3段構造 - 志村一隆

2つの世界を行き来する3つの人たち

「魔法少女まどか☆マギカ」のアニメ的日常と切絵的画風の魔女の結界。作品では魔女が結界の向こう側の世界だけれど、スクリーンのこちら側にいる我々にとっては、切絵のほうが現実に近く感じる。
そして、この2つの世界を行き来するのに、作中には「少女」「魔法少女」「魔女」という3つのレイヤーが用意されている。
魔法少女はもう人間ではないのだが、魔女でもない。人間ではないの…



N’夙川BOYSとモテキに見る、不安定な物語とソーシャルの関係 - 志村一隆

物語はちと?不安定

映画「モテキ」見てから、そこに挿入されている「N’夙川BOYS」の「物語はちと?不安定」という歌が耳を離れない。鳴り止まないっ(by 神聖かまってちゃん)(筆者注:バンドの名前です)。
そういえば、あやぶろの2011/8/1ポストで、河尻さんが「安定的な制度を構築するためには、物語性を付与し、時間軸の中でデザインする必要がある」と述べていた。2011/9/10ポストで前川さん…



Creative Kitchenに参加して ― 志村一隆

あやブラーで、銀河ライター主宰の河尻亨一さんがクリエイティブを“料理する”イベント「Creative Kitchen」に参加した(9月23日、24日)。
出席した最初のセッションでは、デジタルクリエイティブにおける編集者の役割が語られ、二つ目は、ジャパン・コンテンツの海外戦略密談をチーム・ラボ代表取締役社長の猪子寿之氏と編集者で京都造形芸術大学教授の後藤繁雄氏が語った。猪子さんは、墨の作品をベネテ…



「SNS」+「テレビジョン」=「ソーシャルメディア」 ― 志村一隆

環境変化を念頭におかない経済合理性

ソーシャルメディア、おっとSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)だった(そうだったヨネ!河尻さん(マエカワセンパイ風です))。SNSには、巷の会話がアーカイブされていく。そして、マスメディアの信用性が今のままでは揺らぐ、と2011年3月3日(テレビの信用は何に因って担保されるのか)に書いた。
ちょうど、「あやぶろトークセッション」で氏家さんが「テレビ局は…



「アルルの寝室とテレビ表現」 ― 志村一隆

時空を超えた重層な関係性
木原さんポストに、「アルルの寝室」が3枚あると教えて貰った。私は、シカゴで見た2枚以外の場所にも行っているのに、見た記憶が全く無い。。。
木原さんは、現実を目の前に、蓄積された記憶とのズレを感じたが、自分はそのズレすら感じない。絵の実物からはオーラを感じなかったのだろうか。
前川せんぱいは、「テレビ中継」とは、「中継されることによって、視聴者との間に成立する新たな関係性の…



アートとメディア in シカゴ ― 志村一隆

シカゴメディア体験
6月が欧米の住んでいる人にとって、いかに楽しい夏の日々なのか実感した。

● 月曜にNBAでダラスが優勝、火曜はNHLでボストンが優勝。ボストンに
   負けたバンクーバーでは、暴動が起きた。
● ウィンタースポーツが終わり、野球、ゴルフの全米オープン、ウィンブルドンの
   季節。木曜午後のリグレー・フィールドは、超満員。
● 朝のモーニングショーは、NBCがロックフェラーセ…


「実物とリアルの違い」 志村一隆

6月のロンドンは、9時を過ぎてもまだ明るい.木は高いし空は青い。ターナーの風景画そっくりだ。いや、ターナーの絵がリアルにそっくりなのだ。絵が描かれた場所と同じ空気を吸えば、その絵がリアルに感じられる。ダリのぐにゃとした時計の絵や、ムンクの叫びは、明るいけど無人な夜11時の北欧や、夕方3時で真っ暗な日が続く冬の欧州を体験すると、よりリアルに感じられる。彼らの想像力が、身体的な経験から生まれたのだろう…